東京マグニチュード8.0_第9話『今日、さよなら』感想 / テレビアニメ
一言結論:求める者の元へ真実は届かず、素知らぬ顔の偽りがまかり通る。どれを信じるべきなのか。――さて、キミは何を信じる? ケータイ星人
ネタバレありなので、以下は続きから。
先週の衝撃の展開に、見に来てくださった方が平時の数倍にまで達して、もう何事かと思いました(笑)
そんなことはさておき、普段どおりでお送りします。
今回のポイントは、混乱した状況で錯綜する情報ですかね。
「ニュースと違う」現実、不安や願望が生む誤った噂、そして極めつけは・・・真理さんの目には映らない『悠貴』くん。
というか、今回のこの情報交錯は次週起こるであろう『悠貴』くんの告白の為の下ごしらえとすら取れます。
で、皆さん大注目の『悠貴』くんの在り方ですが。
・・・決まっちゃいましたかね・・・これは・・・
ラストのリュックがなぁ・・・滝川キャスターまで唐突に『クラッシュ症候群』とか言い出すしなぁ・・・
原因がそれだとすると、第2話の出来事が原因ですかね?
そうなると念のため病院に行っても、重症の人が優先されて・・・あの状況では3日くらい経ちそうだし、結局タイムリミットなんじゃあ・・・
どうすれば良かったんだろうなぁ・・・ほんとうに。
サブタイトルの『今日、さよなら』。話は区切れても、同じ一日。未来が『悠貴』くんの「あのね」の続きを聞くのも『今日』。
「さよなら」っていうのは、真理さん一家とだけではなく・・・って意味もあるんでしょう。
『、』は普通に帰ってきましたが(笑) これからはもう無いのかと思ったのにー。
それにしても、真理さんを助けたのは「家族が生きていると信じる」と決めて行動した未来。彼女にそれを願ったのは『悠貴』。
皮肉だと吐き捨てるより、あの時叶わなかった願いがここでは届いた、そのことを喜ぶべきなんでしょうが・・・つらいです。
今の『悠貴』の台詞は未来の心の奥の願望なんかを代弁してくれてるのか、それともスピリチュアルな方向なのかなぁ?
避難所のおばあちゃんは同じ年頃の子どもを介さないと孫を認識できなかったのに、そういうの無しで『悠貴』と会話できる未来がすごいのか・・・?
そういえば、避難所の体育館ではロウソク、今回は三輪車の水滴。
それらを映すことで未来のクラスメイトや真理さんの実際に泣くところの描写は控えめな気がします。
本当なら震災では涙があちこちに溢れているはず。でも、あえて省いているのかもしれないと思いました。
それだけ『泣く』場面を温存しているということで。
だから東京タワー倒壊時の悠貴や前話の泣きながら眠る未来や、そしてきっとこれからあの子が流す涙には重いものがあるのだと思います。
話を戻して、災害時の情報はどうしてもうまく回らない、というお話。
「娘をこんなところに置いておけるか」というやり取りは、不安を掻き立てるだけでなく伏線でもあったのですね。
家族の消息はつかめず張り紙で溢れかえる伝言板、そのくせ浸透するデマ、お役所が運営してる遺体安置所も確認が行き届かない。
仕方ないんだけど、実に厄介な問題です。
わからないことを「わからない」と言うだけでは、聞いた側の焦りや不安が増すかもしれない。そうなれば、根拠の不確かな情報に飛びつきやすくなる可能性もありますし。
こういうの、よく「自分の目で見たものを信じるしかない」って結論になることが多いですが・・・この作品では、未来ちゃんのことがあるからそれが言えない。
そのへん、他とは一線を画してると思います。
実際、あんな大変な状況では情報の裏を取るなんて不可能。『災害時の情報には、誤っているものも有る』ってことを肝に銘じるくらいしかない。
万能薬みたいな解決法は無いわけで。何となく収まりの悪い感じですけど・・・それが正しいのかも。
スッキリ終わるよりも解決しない部分をあえて残した方が、見た人の心にも残る。それが狙いだったりして?
それから本筋以外の箇所で印象的だったのがカラスのシーン。
何かをついばんでいるカラス。引いた画面になって、それが備えられた品だとわかる。
見ただけで不吉なものを感じるだけでなく、何というか、象徴的だなぁと思いました。
死んだ人間の苦痛や無念も、生き残った人間の嘆きも悼みの思いも、自然にとっては何の意味も価値も無い。
それを絵でずばり示していたと思います。
台詞があるわけではないのに、伝わってくる雰囲気。『演出』だなぁ・・・
重苦しい話ばかりではなく、ちょっと明るい話題も。
真理さんのうちは、おばあちゃんも元気で逞しいですね。おじいさんと真理さんの旦那さんを連れ出しに戻ったりとか。
ヒナちゃんも、やがて強い女の子に成長してくれるのでしょう。
現在では歳の差があるけど、10年くらい経てば年上の悠貴くんも圧倒してしまいそうなイメージが(笑)。
・・・・・ああ、でもそんな今後を妄想することも叶わないなんて。何もかもこれからじゃないですか・・・
エンディングの写真・・・バックが皆色あせているのに、独り駆け出すこの子の後ろにだけは鮮やかな青空が広がっていて。それは、このためだったのかなー。
・・・結局しんみりしてしまいました。・・・だってこれはさぁ・・・・
ともかく、未来は包帯のおかげで負傷者搬送用のトラックに乗れることになって。
ロボオタクが今になって役立つとは・・・
・・・でも、これが元で真理さんと別れることになったんですけど。
次回、未来はどうなるんでしょうね・・・
真理さんと別れ『悠貴』も・・・となると彼女は独りきり。第1話冒頭が近づいてきたのかな・・・
仮にあれが実現するとして、瓦礫下の腕、知り合いとかだったら嫌すぎる・・・
この作品はハッピーエンドよりも、苦難を乗り越えられるよう少女が成長するまでを描くお話なんでしょうか・・・。
あれだけの大災害が起きて、一家が無事再会できても苦難は続くだろうし・・・それが決着としては正しいのかもしれませんけど、せめて、救いくらいは欲しいです。
可能性は1話で姉弟が植えた苗くらい・・・か。
それでは、次回を怖々待ちます。それではー。
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