宇宙をかける少女_ss『ベンケイの漢修行』 / テレビアニメ
高嶺さんの誕生日にアメブロでアップしたギャグssです。
タイトルからはその辺まったく読み取れませんが、気にしない方向でお願いします。
今回、恒例の注意書きはありません。
何て言うか・・・オチがヒドくてそれどころではないので。
では、続きから。
「たのもぉ!」
どんどんどんどんどん!
「んもー・・・こんな朝早くに誰? 非常識な人だなぁ・・・」
とある日の早朝、獅子堂家に響いた大声+戸を叩く音。
他の皆は忙しく、暇な三女が寝ぼけ眼で玄関に向かう。
扉を開くと、そこにいたのは。
「ベ、ベンケイ・・・!?」
人ではなく、コロニーのブレインだった。
「ワタシは漢を磨きたいのだ! こちらの高嶺殿に弟子入りしたい!」
「はいぃ?」
こうして、騒がしい一日が始まった。
ベンケイの漢修行
「まあいいんじゃない。ブレインコロニーの動向は、知っておけるならその方がいいわ」
「か、風音おねえちゃん・・・」
玄関で土下座(本人はそのつもりらしい。骨格も何も有ったものではないのでいまいちわからないが)を続けたまま動かないベンケイに対処法が分からず、とりあえず姉達を呼んできた秋葉。
しかし、長女は予想外に寛容だった。
弱った三女が、次女の顔を見る。
「でも、高嶺おねえちゃんイヤだよね? そもそも、漢を磨くのに女の人に頼むってどうなのよ?」
「そ、それは仕方なかろう。ワタシを見ても驚かず、なおかつ弟子にしてくれそうな人間など他にいないではないか!」
「それは・・・そうかもしれないケド・・・」
かといって、ようやく落ち着いた我が家に来られても困るのだが。
それに、ここにはレオパルドがいる。何か騒動が起こりかねない。
でもまあ、本人が断ってくれるだろうし・・・
とか思っていた秋葉の思惑はあっさり崩れる。
「・・・いいでしょう」
「あれぇ?!」
ご本人、あっさりOKサインを出された。
「外装を外し丸腰で来るとは、なかなかの覚悟。姉さんもああ言っていることです。来る者は拒みません」
「おお有り難い! 拙僧、この御恩は忘れません!」
僧なのは名前だけでは? 宗派も何もないだろう。
いろいろ言いたい秋葉だが、早くも入りにくい空気が出来上がっていた。
「見ていろつつじ! ワタシは漢を上げてみせる! 『アンタみたいな鉄の塊に触られても何とも思わない』などとは、もう言わせんぞぉ!」
「ええ。極めるのです、武の道を!」
「なんか、のっけからあっちこっちが食い違ってる気がするんですけど・・・」
「そんな常識的なツッコミが、通用するわけないじゃない・・・」
不在のイモちゃん(朝は何かと忙しいのだ)に変わり秋葉のフォローをしたのは、意外なことに四女だった。
同情・・・いや、諦めがその瞳には宿っている。
それを見て、「ああこの子もオトナになったんだなぁ・・・」と心の中でつぶやく秋葉も、既に何かを諦めていた。
いいのだろうか、この家。
素振り千回。腕立て伏せ千回。スクワットも千回。
そうこうしているうちに、もう夕方だ。
「筋肉が付くわけでもないのに、何やってるんだろ・・・?」
ここは獅子堂家の稽古場。
まあ見た目は、普通の剣道場のようなものだ。家にそんな場所があることが普通では考えられないのだが。
それはともかく、言われることを真面目にこなしているベンケイに、様子を見に来た秋葉がこぼす。
だが、返事には微塵も迷いはない。
「構わん、ワタシは漢を磨いているのだ!」
「ご本人が納得しているのであれば、いいんじゃないでしょうか・・・」
イモちゃんもイマイチ釈然としていないようだが、そう言った。
「ベンベン、ふぁいとぉ〜」
桜は、全面的に応援の方向らしい。
「基礎は終わったようですね。では、試合といきましょうか」
「よろしくお願いします、先生!」
休む間もなく、高嶺から次の課題が言い渡される。
まあ彼らの場合、人間と同じように疲労するものでもないのだろう。
「どこからでも、かかってきなさい」
「はい!」
竹刀(人間用のごく普通のもの)を構えるにょろにょろしたコロニーのブレイン。
それに対峙するのは、胴着姿の美女。
「うわ、なんかシュール・・・」
「B級怪獣映画のワンシーンみたいです・・・」
「たかねおねーたん、Bカップ〜?」
そんな話はしていない。
好き勝手言ってる外野はさておき、
「たあっ!」
「うおりゃあ!」
当人達は大真面目で打ち合っていた。
「踏み込みが甘い! あと、肩に余計な力が入りすぎよ!」
「オス!」
「・・・その返事は、競技が違うんじゃないかなぁ・・・」
「あの体型で肩っていうのも、どこなんでしょうね・・・」
「かたかた、こりこり〜?」
更に言えば、彼は地面から浮いているので踏み込みと言われても。
こんな感じで、見ている側はツッコミに専念している。
「でもやっぱり、おねえちゃん強いよね〜」
「ええ。圧倒的です」
「ベンベンー、負けるな〜!」
試合の内容については、特に語ることがないからだ。
素人ではあるのだが、その目から見ても高嶺がベンケイを上回っているのは明らかだった。
本人も、それはわかっていたようで・・・
「ワタシは、負けるわけにはいかんのだぁぁぁぁ!!」
一か八か、捨て身で撃ちかかるベンケイ。
だがしかし。
「・・・うおっ!?」
指導を参考に、地に足を付け思い切り踏み込んだのだが、濡れていた床でバランスを崩す。
そして、竹刀の先は。
むに。
高嶺の胸元に、一直線だった。
まあ、勢いは削がれていたので怪我はないだろうが・・・・
「お・・・お約束・・・」
「ベタベタですね・・・」
観客席(あくまで名前だけ。単に入り口の辺り)から的確なコメントが入る。
「すいません、先生! もう一度・・・・・・・・へ?」
その辺りのことを全く気にせず続きを頼もうとしたベンケイは、師から立ち上る怒気にようやく気付く。
「うりゃあああぁぁぁっ!!」
「ぎゃあああぁぁぁっ!?」
裂帛の気合とともに放たれた一撃に、哀れなブレインは稽古場の壁を突き破って飛んでいく。
「・・・おねえちゃん、本気だ・・・」
「QT使ってましたね・・・」
そんな呟きは、朦朧としていたベンケイには届かない。
どうにか聞こえたのは、高嶺の鋭い声だけだった。
「あなたのような破廉恥な輩は今日限り破門です!」
「ああっ、高嶺さま!」
足早に去っていく彼女を、イモちゃんが追っていく。
残された秋葉は、ベンケイに駆け寄った。
「えーっと、大丈夫? ・・・わざとじゃないんだしさ、高嶺おねえちゃんも謝ればきっと許してくれるよ・・・」
あれだけ頑張っていたのだ。慰めの言葉をかけてみたのだが・・・
「・・・・やったぞ・・・・」
「え?」
「そういうことか・・・。金属がダメなら、竹刀を使えばいいと、そういうことなのだな!」
「な、何の話・・・?」
「世話になったな獅子堂家! だが、次に合う時は敵同士だ!!」
「ちょ、ちょっと!?」
何だか満足したようで、ベンケイは振り返る事無く去っていった。
取り残されたのは、三女と五女。
秋葉の口から、投げやりな言葉が零れ落ちる。
「そういえば、なんで床濡れてたんだろ・・・・」
「ベンベン、桜のオイルでピカピカ〜」
「ああ、桜の差し入れだったのね・・・。でもそういうの、撒くんじゃなく手渡すものじゃないかな・・・・」
まあ、飲むわけでもないだろうが。
そんな感じで立ちつくす姉と妹を、壁の穴越しに眺める通りすがりの四女さん。
ここは何か、〆の一言が欲しいところである。
「今日も平和ねー・・・・」
・・・ありがとうございます。
そして。
「見よつつじ、ワタシは奥義を体得したのだ!」
「はあ? アナタ、今日一日いなかったと思えば、何をテンションあげているわけ?」
「ええい黙れ! 受けるがいい、我が必殺の一撃を!!」
つんつんむにむに。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・で?」
世にも冷たい視線を向けられ、ベンケイはたじろぐ。
「ばっ、馬鹿な・・・! 獅子堂高嶺には確かに効いていたはずなのに・・・!?」
「甘いわね、ベンケイ! このワタシをあんなお色気キャラと一緒にしないで頂戴!」
「お色気キャラ・・・? あの大和撫子が・・・・?」
「大和撫子は武器を持って戦ったりしないわ」
「はっ、確かに!」
付け加えると、素手で戦うこともないと思う。
「だがつつじ、何故そんなことを知っている? オマエと彼女は、接点が無いはずだが・・・」
「ドラマCD(vol.1)を聞いたのよ」
「メタなことを?!」
全くである。
「まあもっとも、ワタシは持っていないのだけどね」
「何ぃ?」
「何故自分の出番が無いものを、わざわざ買わなくてはいけないのかしら?」
「ではどうして、内容を知っているのだ・・・?」
「決まっているわ。天の声よ!」
「オマエの言ってることは全くワカラナイ!」
終わり
◆後書き
しょうもなさすぎる話ですみません。
それにしても高嶺さんの誕生祝で、何故ベンケイがメインになったのか。さっぱりわかりません。
つつじ女帝陛下とのコンビが大好きなので、その影響が無意識に出たのかな・・・
ともかく、高嶺さんの話題に。
オチにも使いましたが、ドラマCDのお色気キャラっぷりにはびびりましたね。
いくら無人島とはいえハタチ過ぎて躊躇無く脱ぎすぎっすよ・・・
和風美人のイメージがあっただけに、その落差には驚愕しました。
そっちを押せばもっと活躍できたのかな・・・・強い上に色気有りとか更に無敵!
鎧の神楽さんをこの点では確実に上回ってます。
・・・うん、何の勝負だろう・・・?
そんなわけで、くだらなすぎるギャグ話でしたー。
SORA KAKE GIRL
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