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宇宙をかける少女_まとめ感想4 / テレビアニメ

    


一言結論:英雄譚ではなく、普通の少女の物語


 『宇宙をかける少女』の最終回を見た後のまとめ感想後半いきます。
 項目は、以下の2つ。
 1と2は先日の記事の方をご覧下さい。


3.神楽とネルヴァルの役割
4.たのしい『そらかけ』


 ネタバレありなので、以下は続きから。

 



3.神楽とネルヴァルの役割

 途中まで(むしろ終盤まで)いかにもラスボスな風格だったのに、あっさりその座を明渡したネルヴァルと神楽(アレイダ)。
 この二人は何だったのかといえば、秋葉とナミを最後の立ち位置まで押し上げる役目を担うキャラクターだったのだと思います。

 まずは、獅子堂神楽。
 戦う意思(動機)も能力も無い普通の女の子だった秋葉を、ネルヴァルと戦わせるには彼女の存在が不可欠でした。
 両親を探すいつきや仲間の思いを受け継いだほのかが引っ張る以外にも、秋葉の興味を引くような何かが必要だったのではないかと。
 やはり彼女を戦いの舞台に上げるきっかけは一つくらい自分で持っていて欲しいところですかね・・・。それがこの人だったのだと思います。

 そういえば、明言されなかった神楽さんの『願い』ですが。
 『宇宙をかける少女』とはブレインコロニーとの戦いを終わらせる存在。
 それも含めて推測すると、神楽さんもレオパルドと仲直りしたかったのではないかなーと。
 ネルヴァルを50年は止めた神楽さんだけど、レオパルドと自分が対立したままではブレインコロニーとの戦いを完全に終わらせたとは言えないだろうし。
 だから、レオパルドを殺すことを決めた秋葉に哀しそうな顔を向けたのではないかと思います。

 そういえば神楽メモはナミに焼かれて終わりでしたねー。ネルヴァルが焼け跡から拾ってくれるんじゃないかと思ってたんですが。
 この人の性格だと「ああアレ? ナポリタンの隠し味のレシピよ」とか言い出しそうな気もする・・・
 それとも、今までメイン敵だったアレイダが脇役へ後退、そのポジションをナミが奪い取ったことを暗に示していたのでしょうか。

 そういえば、神楽ファンの自分があの「ごめんね?」をフォローしてみると。
 神楽さんは、別にふざけていたわけでも軽く考えていたわけでもないんですよね。
 言うこと聞かないナミに本気で困っていたようだし、命を削って説得に行ったわけだし。単にナミの気持ちが全く掴めていないだけ(それが一番問題なのですが)。
 この作品、能力面での超人は多くても精神面での超人は皆無でして・・・神楽さんもその例に漏れずというか。
 自分の非は素直に認めて。強制的に従わせるのではなくナミ自身の意思で決めさせないといけなくて。己の命を削ってはいるけれど、それはあくまでこっちの都合だから押し付けるわけにいかない。
 そんなことを考えて・・・・ああになっちゃったのではないかと思います。でも、この人の性格じゃナミの気持ちはわかんなくて当然かもしれない・・・獅子堂家は人選を誤ったな(笑)

 そして、ネルヴァル。
 こっちはナミの担当です。引き篭もりだった四女を、三女と戦えるだけの存在にしたのが彼。
 ナミを家族から引き離し、力を与え、精神的により追い詰める(側近に疎まれたり見捨てたり)。
 これにより、ナミは25話の暴走に向けて一直線。ある意味秋葉よりも真っ直ぐラストのポジションに向かっていったような気がします(笑)。

 彼女が姉妹に苛立ちを募らせたきっかけも、元を辿ればネルヴァルです。
 皆が秋葉を妙に構っていたのも、忙しい風音さんがナミを突き放したのも、ネルヴァルとの対立があったから。
 ホント『人類の敵』というのは実に強力なカードです。姉妹がナミを放置するのにこれほどの理由は無いですよ。
 おかげでナミは言わば合法的にほったらかしにされ、それが離反にも繋がったという。

 ですがここでポイントになるのが、ネルヴァルは悪党ではないということ。最終回での彼はレオパルドより明らかに人格者(笑)。
 彼がナミをいいように利用したわけではないという点は、非常に重要だと思うのです。
 もしネルヴァルが悪意や計算(敵の戦力を削ごうとした等)で持ってナミに接触してきたのだとしたら、彼女は本当にただの被害者。
 そうなってくると真の黒幕はネルヴァルで、ナミはそれに踊らされた形になってしまう。

 それであのラストはむしろキツイですよ。騙された挙句、色々な責任を負う羽目になるというのはちょっとあんまり。
 でも、実際はネルヴァルの行動は全て善意に基づくもの。ナミに対してもそれは同じで。
 役割を与えれば充実を得られるだろうと考えて彼女を引き込んだ(人類全体のモデルケースでもあったようですが)だけです。
 だから、ナミは自分の思うままに行動したということになって。『哀れな手駒』という立場ではなく、ラスボス(の一人)として堂々君臨できた、と。
 そもそもナミが引き篭もってたのも、ネルヴァルとは何も関係の無いモデル関連が原因。ここも、全ての元凶がネルヴァルでないことを示しています。
 秋葉が神楽に導かれつつも最後は己の意思で決断したように、ナミも自分で歩いていってあの場所に辿り着いたということなのでしょう。


4.たのしい『そらかけ』

 タイトルは『たのしいさんすう』的なノリで(わからんわ)。
 ラストはとにかく勢いが命だったので、細かい説明はほとんどなし。
 まあ、楽しさが一番大事ってタイプの作品ですので間違ってないのでしょうが、直接的な説明が欲しい時もあるわけで。
 おこがましくも、あちこちで目にした意見について考えてみました。
 提示されたヒントを元にしていますが、本編では明言されなかった事柄ですのであくまでわたし個人の意見くらいで思ってください(笑)。


目にした意見その1)主人公が何したいのかわからない。主人公が成長しない。主人公が苛つく。

 わからないでもない・・・(笑)
 ですが、秋葉は「何をしたいのかわかっていない」というキャラクターを愚直なまでに守っていたのだと思います。
 おかげで後半まで彼女の目的は定まらず、主人公以上に個性豊かなサブキャラたちがお話を進行させてくれていた感じです。
 中盤〜終盤の頭までは、主人公が他の皆を引っ張っていく話ではなく、群像劇のスタイルをとっていたのかなーと。
 濃いキャラクター達にそれぞれ見せ場があって楽しかったのですが、ここで描くのを秋葉のみにしぼれば時間は短縮できたのかも。
 そうしたら、クライマックスに人間キャラたちももっと活躍できたのかなー、なんて。最終回はブレインコロニーズの方が派手だったので、人間組の活躍をもっと見たかった気持ちは正直有ります。

 それで秋葉のしたかったことですが、多分彼女はイモちゃんといっしょに普通の生活を楽しく送れれば良かったのだと思います。
 自分にしかできない「何か」が欲しかったのは劣等感を解消して日々をより楽しむためであって、英雄願望の類ではなかったように見受けられました。
 もとよりそういうキャラだったので、わたしとしては秋葉に『大儀』よりも『個人的な』理由で動いてほしかったのです(無責任なところは直した方がいいと考えていましたけど)。
 最後は皆の為に戦うことを決意しましたが、彼女をそうさせたのはイモちゃんで。ラストシーンも、イモちゃんと二人で締める。
 秋葉はやはり大局的に物を見るより、身近なものを大切にする性格だったのだと思います。
 そういうところは神楽さんとは対照的で、ナミに近い感覚ではないかと。神楽さんのやり方は、ナミの気持ちはとりあえず置いて、まず命、ですから。
 成長したとはいえ秋葉は権力者や指導者向きではなく、最後まで『普通の少女』だったのでしょう。
 確かに、周りが見えてないっていうのは時に苛つきますが(笑)。

 今までの感想でも書きましたが、わたしは秋葉はちゃんと成長していると思います。
 騒動の大きさに比べるとえらくささやかですけれど。そこも『普通』の彼女らしいところかな、と。
 まあ、地味って言うのはよく言えばリアルってことで(笑)


その2)ナミがかわいそう。みんな勝手過ぎる!

 思う思う(笑)。
 でもそれにも理由はあったと思います。詳しくは前回のまとめ感想で書いたとおりです。
 でも、確かにナミは不憫ですよね・・・。ここはひとつ、続編で解決するということで(勝手な)。


その3)伏線がほったらかし・・・

 まあ、確かに(笑)。
 いつきの両親とかほのかの寿命とか詳細はわからなかったですよね。
 まあ、ネルヴァルとの戦いが終わったことでどうにか解決するんじゃないかと思います。
 月面も解凍されるのでしょう。カークウッド攻撃の件でいろいろありそうですが。
 箱の中の人間の不可解な死というのは、ネルヴァルの箱詰め支配に問題があることを示していたのかな?
 それより、秋葉と神楽が夢で会っていたのはどういう理屈・・・? 思いの力であるQTのおかげ?


その4)最後ギャグで締めるとか、何だか展開が適当じゃない?

 否定はしませんが・・・(笑)。
 でも「黄金銃だ、握ってみろ」とかゆぴたん突然の登場とか、そもそもハードで硬派なSF作品でないことは開始当初から明らかでしたし。
 わたしからすると「この作品らしいな・・・」って感じでした。ゆぴたんの時も「おもしろいからいいじゃん、一回くらいこういうのもアリだろ」くらいだったかな。
 この作品は正直好き嫌いが結構別れるタイプではないかと思いますね・・・。
 第1話のインパクトに様々な人が興味を持ったと思うのですが(自分もその一人です)、以下のような展開を期待した人には確かに受け入れ難いお話だった気がします。
 例えば、シリアスな大SF巨編、壮大な英雄譚、ストレートな主人公の成長物語、多様な登場人物たちの織り成す人間模様、熱血展開、恋愛もの・・・とか。
 意外な方向にお話が進んでいくだけに、王道展開が好きな人にはちょっと辛かったかもしれませんが・・・こればっかりは「まあ『そらかけ』だし」としか言えないです(誉め言葉?)。

 
その5)秋葉とナミは戦わんのかい・・・

 全面的に同意(笑)。
 確かにそこは見たかった・・・。続編があればそれに期待したいところです。以上(短っ)。


その6)野球回は何だったんだ?

 うーん、断言はできませんが一応推測くらいはしてみますと。
 ピッチャー秋葉とバッターいつきの心理は、一応本編に通じるものがあるように思います。
 「野球がしたい」という自己の願望と「孤児院を助けないといけない」という役割の両方を背負っていたバッターいつきは、ラストの秋葉の立ち位置。
 他者への怒りに身を任せ全てを破壊しようとしたピッチャー秋葉は、本編のナミの立ち位置。
 ・・・ってまあ、あれはお祭り的な番外編という扱いでいいと思いますが(結局それか)。


 というわけで『宇宙をかける少女』テレビアニメ版の感想は、これで一区切りです。展開を想像するのが楽しかったなぁ。
 それにしてもこの作品、SSを書きたくてしょうがないのですよ。既に10本くらいネタが・・・
 夏休みになるかもしれませんが、どかどか小説が挙がっても引かないでやってください。少なくとも小説下巻が出るまでは、いろいろ書いてそうです。
 バッドエンド・・・どころか死にネタとかもありますけど・・・・まあ本編がハッピーに終わったからこそ、そういうのが書きたくなるっていうか・・・
 ともかく、ちまちま書いてる『スパイダーライダーズ』を先にアップしたら順次挙げていくつもりです。
 一番に持ってくるのだけは既に決まってます。こんなカップリング(?)押すのはお前だけだよって感じの組み合わせです。『そらかけ』小説版感想の後でちょこっと触れていたやつです(笑)。

 では、今回はこれで終わりです。
 最後に、製作スタッフの皆様、楽しい作品をありがとうございました。ゆっくりと休んだ後、続編など作ってくださると嬉しいです(笑)
 ということで、終わります。それではー。



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