鉄腕バーディー DECODE + DECODE:02_まとめ感想4 / テレビアニメ
ネタバレありです。
一言結論:うまくいかなくても頑張るのが大事!
「鉄腕バーディー DECODE」感想もとりあえず最後。
自分の視点にツボな部分と、好きなことを書こうかと思います。
では以下は続きから。
「鉄腕バーディー DECODE」の一期はつとむ君がメイン、二期のメインはバーディーときっちり分かれていたと思います。
「責任」という観点から見ると。
少年が、自分の責任を取れる大人になっていく話が一期。
社会的責任を既に背負っている大人たちが折り合いをつける話が二期。
そんな感じだったのではないかと。
二期ではつとむ君はあくまでバーディーのサポート役(でも彼女のピンチにはバディの役割を果たし、充分支えてくれてましたが)。
ということで「責任」という視点も、今期はバーディーとナタルを中心として語とうと思います。
一期から責任感の強い人物として描かれていたバーディー。
そんな彼女が、今回初めて自分の責任を全うできない。そんな事態が起こります。
逃亡犯たちの殺害が決定的になったにもかかわらず、幼馴染のナタルを捕まえられなかった。
その後彼女は、責任を果たすため自分の正直な気持ちから目を逸らそうとしていました。
「今まで自分に見せていたナタルの姿は全て偽り」と結論付けて、彼を逮捕できる状態に自分を持っていこうとしたのですが。
それをとめたのはつとむ君でした。
中杉さんと自分の体験を語って、バーディーの中の素直な気持ちを引き出した。
これが無かったら、最終回のあの終わりは無かったと思うんですよ。
それが義務だ、と力任せに捕まえようとしていたら、ナタルは絶対に戦うのをやめなかったと思います。
そして、自分がすべきことと心が食い違ったというのは、ナタルも同じだったはず。
本来なら犯罪者への処分は捜査官(警察組織)に任せるもの。
でも憎しみにとらわれた彼はその心を抑えられず。
アルタ人を差別する連邦政府の裁きなんて信じられない、死んだ人々の無念を思い知らせるにはこれが正しい、という理屈を展開して復讐に及ぶ。
ナタルは本来自分がすべきことを放棄し、本心に従った。
バーディーと同じような分岐点から、彼は逆の道を選んだだけとも言えます。
たとえ義務でも、それは信念に反する。どうしても従えない。
そういう気持ちは否定できないです。
この状況とは違うケースですが、法律を遵守していたら誰かが死ぬ、という時だってあります。
その場合でも義務や責任を優先すべきかどうかは、一概には言えないですし。
でも今回のナタルの行動が間違っていたと言えるのは、戦場でもないのに人の命を勝手に奪うなんて許されないという点。
そして、自分を正当化するために他人を理由にした点があるからです。
どうもナタルは自分のしたことの責任を負おうとせず、よそに押し付けがちだと私には思えました。
復讐の理由を『死んでいった人々の為』と言っていたのを筆頭にもろもろと。
周りが悪いんだ、だから自分は間違ってない、と自身の行為を正当化しているように見えたのです。
ただストーリーが進むうち、彼の責任逃れも通用しなくなってきました。
といっても、彼が態度を改めたというより、責任の方が彼を逃さなくなっていったって感じですが。
父親を失って、住む家を失ったナタル。
その後は、仕事、親しい人、バーディーと自分から離れていくんですよね。
これは一見、自分がしたことの責任を取るようになったっぽく見えるのですが。
本当は全然そんなことは無いんじゃないかと思います。
彼は、復讐をやめることなく続けている。全く反省してない。
むしろ「自分にはもうこれしかないんだ」という新しい理屈まで付け加えられていたかもしれないです。
そうやって自分こそが正しいという根拠を作ることに執心した結果、ナタルは己の作った理屈に振り回されてしまうのです。
バーディーを守りたかったはずなのに、彼女を殺そうとするナタル。
自分の本心に沿った行動を正当化するため構築した理屈。それによって導き出された結論は、自分の望みとはかけ離れたものになっている。
でも自己の正当化の為にそれを捨てられないナタルは、望まないはずのその結末へひた走る。
ここまで語らずとも「君が好きだ」から一分も経たずに「君を殺す」とか言い出すあたり、彼の論理が破綻しているのは誰の目にも明らかですけど。
このナタルは、責任と気持ちに折り合いをつけることに失敗した例だと思います。
気持ちを選ぶために責任から目を背け、それを正当化する理由付けに必死になって、結局は自分の気持ちを捻じ曲げることになった。
一方バーディー。
彼女はつとむ君の助言もあって、自分の正直な気持ちに蓋をすることなく。
そして己の責任も放棄せず、ナタルを止めに向かいました。(その後はどうするつもりだったんだろう? 治療→逮捕、ですかね)
きっとこれが正しい選択だったんだと思います。
気持ちと責任――「したいこと」と「すべきこと」が食い違ってしまった時。
どちらかを選ぶために片方から目を逸らし、なかったことにしてしまうのではなく。
正面から懸命に事態に向き合えば、少しかもしれない、ほんのわずかかもしれないけれど、良い結末がきっと得られる。
そうやって、気持ちと責任どちらも捨てる事無く、折り合いをつけていくのが大人なんだ、というのが二期の結論ですかね。
と、こうして自分視点の方もまとまったところで、予告通り後は好きに書きます。
私は「鉄腕バーディー DECODE」のここが好きだ!
突然ですが、私はこの作品のことが「何となく好き」だったんですね。
ここまでいろいろ感想書いといてあれですが、好きな理由が自分でもよくわからなかった。
それがわかったのが、二期の最終話。最後の最後です(笑)
最終話のバトルにはもうドキドキ通り越してドクドクきたのですが、そこではなく。
全部終わった後の、バーディーとメギウス警部のシーンがすごくツボだったんですね。
今までずっと味方だった警部がバーディーの主張を退ける。
「無いのだよ、そんなものは」と顔右半分を画面に大写しにするメギウス警部と、悔しそうにつぶやくバーディー。
最終話のエピローグ部分でこのモヤモヤさせる展開が。
すっごく、よかった。
もう私のツボにクリーンヒットでした。
バーディーが嫌いなわけじゃないです。ただこの場面に、私の「鉄腕バーディー DECODE」の好きな部分が詰まっていたんです。
この作品って、必死に頑張っても全部はうまく行かないんですよ。
というか、うまくいった部分の方が少ないくらい。
一期では、成功したのはリュンカ回収と中杉さんの生存のみ。町や村が一つずつ壊滅し、中杉さんとつとむ君の恋も実らず。
二期でも、ナタルの復讐を止めることと彼の命をつなぎとめただけ。幼馴染は殺人犯となり行方不明、情報を持った逃亡犯たちはほとんど殺された。そして、ラストにさっき挙げた警部とのシーン。
頑張って頑張って、それでもうまくいかない。あれもこれも手をすり抜けていって、掴めたのはほんのわずか。
バーディーもつとむ君もそれに傷つき悔やむけど、それでも二人は前を向いている。
そこが好きなんだ、と最後まで見てやっと気付きました。
「頑張れば、どんなことだってできる!」みたいな少年マンガ展開も「頑張れ若人ー」って感じで応援しますけど。
今回のバーディーに対してはもう「ここは私の奢りだ、好きなもの頼んでいいぞー!」ってぐらいに入れ込んでました。
この状況を作ったメギウス警部もいい仕事です、彼にも敬礼。カッコよかったですよー。
で、また警部の話なんですけど、二期最終話では差別の否定の話ってことで、これは多分それに絡めたシーンなんだと思います。
この差別否定ってテーマは、カテゴリーでなく個人が大事って結論に落ち着くんです。
それを示すように、テロリストのヴァリックが自分だけ逃げずに人命を助ける場面があります。
これは「悪役」というカテゴリーを上回った「ヴァリック」個人の行動ってことだったのか、としばらく経って思いました。
てっきり最終話でよくある、最後に敵がいいやつになるっていうのかと。(そういう展開も好きですけど)
で、メギウス警部も「バーディーの味方」ってカテゴリーから外れてくるんですよ。
これはほんとすごいなーって思いました。
最後の最後に不条理を突きつけてくるんですから。
やっぱり幾多の成就されない思いがあってこそ、成し遂げたものが輝くというものです。
「きっとまた会える」と中杉さんとつとむ君を再会させなかったのもニクい。希望はあることをちゃんと描いている。
これが効いてバーディーが独りナタルを信じて待つラストシーンが美しいったらないです。
中杉さん、アニメのオリキャラが主人公とうまくいくわけない、と記憶喪失も予定調和だなーとか思っててすいません。
再登場のみならず、原作進出までしていたとは。ナタルも負けずに頑張れ。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。この作品に出会えてよかったです。
今はゆっくり休んでいただけたらと思います。
で、充分リフレッシュしたところで、できれば三期を作ってほしいなーと。
いろいろ伏線っぽいものもあるし、まだ話作れますよきっと。
その時は、カペラにも出番があるとうれしいです。地球に来るのすごく難しそうな状況ですが。
そんな感じで「鉄腕バーディー DECODE」はこれで終わりたいと思います。
いつも長い文章を読んでくれた方、いらっしゃったらありがとうございました。コメントとのある方はお気軽にどうぞ。それではー。
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