トップページ » TIGER & BUNNY _第24話『Nothing ventured, nothing gained.(虎穴に入らずんば虎子を得ず)』感想 / テレビアニメ

2013年03月30日

TIGER & BUNNY _第24話『Nothing ventured, nothing gained.(虎穴に入らずんば虎子を得ず)』感想 / テレビアニメ

TIGER&BUNNY(タイガー&バニー) 1 (初回限定版) [Blu-ray]

TIGER&BUNNY(タイガー&バニー) 3 (初回限定版) [Blu-ray]

　ネタバレ含むので、以下は続きからー。

　『ヒーロー』の役目を担う存在をNEXTからアンドロイドに移行しようと企てるマーベリックとロトワング。けれどその二人の態度は正反対に見えたのが印象に残った回でした。

　NEXTであるヒーローをあからさまに見下しているロトワングに同調することなく、沈黙を守るマーベリック。それはもちろん、彼がNEXTであったことも理由の一つであるはずです。
　自分も含めたNEXTへの差別的な態度を取られて、不快に思わないはずはない。にも関わらずロトワングを引き込んだのは、彼のアンドロイド開発技術がほしかったからなのでしょう。
　でも何故そこまでして、ヒーローをアンドロイドにしなければならなかったのか。
　彼はヒーローシステムの生みの親であり、元来『HERO TV』はNEXTの地位向上のため(表向きは娯楽番組ですが)のものだったはずです。

　これは推測なのですが、マーベリックは、『HERO TV』を作り上げたからこそ、誰よりも「『ヒーロー』が普通の人間に過ぎない」ということを知っていたのではないでしょうか。
　八百長を抜きにしても、画面映えする演出をふんだんに番組に盛り込んだはずです。視聴者は脚色された『ヒーロー』を目にしていたわけですが、そうした演出が無い状態での『ヒーロー』たちの素顔を、マーベリックは知る立場だった。そしてその素顔は、皆一様に普通の人間と変わりが無かったのでしょう。

　視聴者がテレビの画面越しに視る『ヒーロー』像と実際の『ヒーロー』たちの乖離は甚だしく、その『ヒーロー』像は普通の人間であるNEXTたちに背負わせるにはあまりに重かった。
　彼にそう思わせた理由のひとつには、能力を失って荒み遂には死に至ったレジェンドのこともあるのだと思います。
　『ヒーロー』を『超人』へと祀り上げてしまったのが自分である以上、特殊な能力を持つだけの人間に過ぎないNEXTたちをその重責から解放しなければならない。――もしかするとマーベリックは、そんな風に考えたのではないかと思うんです。

　今回の会議の場面やジェイク事件の時などマーベリックはしばしば「ヒーローを信じましょう」と訴えますが、実は彼自身はそれができなかったのではないでしょうか。
　先に述べたように、テレビに映らない『ヒーロー』の弱さを知っていることもあります。更にそれに加えて自分自身のこともあるのではないかと。
　もし彼が『ヒーロー』を信じてクリーンなまま番組を続けていたら、犯罪組織に屈することも無かったのではないでしょうか。『HERO TV』は終わったかもしれませんが、ウロボロスに利益をもたらすことも無かったし、親友を殺すこともきっと無かった。

　そして、マーベリックにできなかった「ヒーローを信じる」ということをやってのけたのが、ブルーローズ。この役目を担ったのが彼女であることには意味があると思います。
　彼女のヒーローネームである『青いバラ』は、自然界には存在しないもの。人間が、努力の末に作り上げたものです。人間が持つ力や強さの象徴と言えるものではないかと。
　人間の弱さから道を踏み外したマーベリックにとって、彼女は鬼門だった。
　「仲間を信じる」と宣言したブルーローズを罵倒するロトワングに対し、取り乱さなかったマーベリック。彼は何を思っていたのでしょうか。
　そういえば、ロトワングを倒す際に楓ちゃんが用いたのも、ブルーローズの氷の能力でした。わざわざスカイハイの能力から上書きしたのも、状況打破のきっかけがブルーローズにあることを示すためなのかもしれません。

　最後に、アンドロイドと一緒に倒れる虎徹さん。
　予告にもいないし、本当に死んだみたいですねー、これ(笑)。放送当時は大騒ぎだったな・・・と記憶がよみがえりました。