STAR DRIVER 輝きのタクト_第20話『描かれたあの日の虹』感想 / テレビアニメ
一言結論:先代も次代も無ければ、今代を永遠に続けるしかない
ネタバレありますので、以下は続きから。
爽やか青春恋愛劇の翌週にがっつり重いエピソードが来ましたねー・・・。夕食前から胸焼けするわっ!(笑)
今回長くなったので、割とどうでも良さげなものはまとめてツイッターに投げます。
あ、感想の前に注意事項をば。以下の文章で『カタシロ』はオッサ・・・髭の方の彼を、『リョウスケ』は若カタシロさんのことを指しております。
タクトくんの父親が確定した彼は、基本は『ヘッド』、過去の時点では『トキオ』で。『レイジ』は前後の文脈を考えて、機会が有れば使う程度。本人が名乗りを変えた後であっても、過去の話なら『トキオ』でいきます。あんまり厳密にするとややこしいですし。
1.仲良し三人組の運命は
この作品の方向性としては「隠し事があっても良い。言いたくないことは言わなくても良い」って風だったんですけど、今回の過去話で描かれたのは意思表示が足りなかったために壊れてしまった関係。
これは「伝わってほしいなら、ちゃんと伝えなさい」ってことなのかな・・・。
まあ今回のリョウスケさんに限って言えば「女子高生に告白はちょっと・・・」みたいな葛藤があったのかもしれませんが(笑)。今より一世代前の話ですし!
でもタクトたちも、どこかで道を間違えればああなってしまうかもしれない。トキオリョウスケソラの三人とタクトスガタワコの三人があちこち重なっていることで、その可能性をひしひし感じます(笑)。
家が決めた婚約者同士のリョウスケとソラの在り方は、スガタとワコと全く同じ。寝ているワコにスガタがこっそりしていたのが、タクトたちが見たままキスだったなら、好意を直接相手に伝えないところもスガタ君とリョウスケさんは似ている。
ただ、先週ナイフを贈っているので(初のプレゼント)、ワコもスガタの好意には気付いているはずで。このことが悲劇的結末回避のひとつのきっかけになり得ると思います。それに、キスもまだ確定ではないですし。
しかし、たまたま見てしまった光景に一人で落ち込むタクトがこっちはこっちでリョウスケさんを思わせて、そこからもバッドエンドにつながりかねないがまた・・・(嘆息)。でもケイト委員長経由で色々探るのはやめたから、まだ大丈夫かな。
タクトってヘアースタイル(髪質?)だけならヘッドよりリョウスケさんに似てる気がするんですよねー。むしろスガタの髪型の方がヘッドに近い印象。
許嫁ふたりの前に現れた少年・・・ってあたりはタクトはトキオ寄りなんですけどね、親子だし。
タクトとスガタの二人が、トキオとリョウスケのどっちになっても不思議ではないこの配置、やらしいなぁ・・・(笑)
けれど恋愛面ではピンチ気味のタクトも、ケイトさんとの仲間フラグ構築はえらく順調です(笑)。不利な出来事さえもフラグの糧となる、すごいや銀河美少年!(このフレーズ毎週言ってるな自分)
しっかしあの委員長が、自らプライベート情報を公開するなんて・・・! 自分と重ねたところはあるにしても、これはもうヘッドより信を置いてるのではないかなぁ・・・
バニシングエージの部下を放り出してたヘッドは、結果的に失点を重ねてます(笑)。まあ、今回の話を見る限り、ヘッドは面倒見が良い人ではないわけで、この対応は(彼の性格からして)自然という気もしますが。
あとの不安は心理戦のエキスパート、ケイトさんにこの点を突かれないかどうか。・・・・いや彼女も自分と同じ境遇の人間相手に流石にそこまでは・・・って、タイガーさんの件があったっけ。
本筋に戻って「伝えるなら人づてとか遠まわしじゃなく直接で」っていう教訓(授業料高っ!)もこの過去話からは読み取れたような。
関係を壊したくない、終わらせたくないからといって座していた場合、かえって取り返しのつかなくなることもある。そういった例はトキオとソラさんの関係を知りながら黙っていたリョウスケさんが見せてくれました(でもタクトたちでなく視聴者に)。
となると、片方をきっぱり振ることが、タクトスガタワコには必要なのかもしれませんな。
そういえば、この作品できっぱり振られたシーンの描かれた人ってほとんどいないんですよねー(寮長に告白して怒鳴られた彼は・・・まあ理由が理由だけにギャグってことで)。
ルリちゃんに告白したテニス部の先輩は、うまくいってる。ミドリ先生に告白したツバサくんも、すごくうまくいってる(笑)。
マリノに好意を寄せていたタケオは、おそらくすげなくされたろうけど、その場面は無し。ミズノはタクトに振られることなく、自分で察して身を引いた。
満を持して主人公たち三人が、今こそとびっきりの失恋劇を見せてくれるのかも・・・
あとそれから、スタドラ名物ってぐらいにあちこちにあった三人組。しかしこの段に来て、そのどれにも陰りが見えてきていて。
◆タクトナツオハナ(タクトと旧友たち)
⇒ナツオが病死
◆スガタワコケイト(旧仲良し三人組)
⇒疎外感を覚えたケイトが離れる
◆タクトトキオイクロウ(ツナシ家)
⇒トキオが帰ってこないため揃ったことがない
◆スガタジャガータイガー(シンドウ家)
⇒メイド二人が隠し事(ケイトさんのおつとめ)
◆カナコタカシシモーヌ(おとな銀行)
⇒タカシが脱隊
◆ベニオテツヤジョージ(フィラメント)
⇒ジョージが部屋にこもり中
◆ツキヒコタケオギンタ(バニシングエージ)
⇒ダーツの腕前の件で不信感
◆タクトミズノマリノ(三角関係)
⇒双子が島を出る
◆タクトマリノタケオ(三角関係?)
⇒マリノさんが島を出る
◆レイジリョウスケソラ(先代三人組)
⇒・・・長くなるので20話を参照
さてタクトたちはどうなるのか、と尚更、彼らの結末が気になるところ。
まあフィラメントなんかは修復の余地はありそうなんですけどね・・・。
でも最後に三人が揃ってるところを見たのは、スガタくんが眠りから目覚めた直後あたりだったような(回想除く)。そう思うと、もう1クール近い。意外とフィラメントは一緒にいないんだなぁ。
2.あれが欲しい≠奴を壊したい
トキオリョウスケソラの三人。彼らがうまくいかなかった原因は意思表示の不足だけかっていうと、それだけでもなさそうで。
飄々と掴みどころの無かったトキオが、珍しく声に感情を滲ませていた場面があって。それが「与えられたものが、与えられなかった者を妬むか」という一言から始まった一連の台詞。
与えられなかった者が与えられた者に抱く、嫉妬。全てを狂わせたきっかけは、おそらく三人が各々抱えたこの感情。
ソラさんはリョウスケさんのことが好きだった。けれど、彼が自分に尽くすのは許嫁としての義務だからだと思っていた。「律儀ね」なんて皮肉ってみても無言だし、更には男(トキオ)を追いかけ始めるし(笑)。
そんなソラさんがトキオを羨ましく思うことは・・・筋は通っていると思うんですよ、対象の性別が少し気になりますが(笑)。
そうした妬みがきっかけで、トキオとの距離が近づいていったと思われます。リョウスケさんに妬いて欲しかったのか、自分の気持ちに気付いてくれない彼に嫌がらせをしたかったのかまではわかりませんが。
一方リョウスケさんは、素晴らしい絵が描けて自由なトキオが羨ましかった。その自由には、家の事情などに縛られること無く、ソラさんへの好意や賛辞を思うまま口に出せるあたりもあったではないかと。
そして自身が自由に焦がれるからこそ、リョウスケさんは他者の自由を奪うことを厭う。彼は、ソラさんの自由意思を極力尊重したくて、だから好意を表に出さなかった。
そのためソラさんに忠告するのが遅れに遅れ、妊娠後のあのタイミングになってしまったんだと思います。
二人の関係を知った理由が能力(正当な方法ではない)だったこともあるでしょうね。「証拠もなく仲間を疑うのは良くないぞ」とヘッドを嗜める人ですから。
最後に、トキオ。おそらく彼はお父さんからシルシを受け継ぎたくて、でもそれが叶わなかった人(父の代わりだからシンゴは男キャラなんだろうか・・・)。
そんな彼が出会ったリョウスケさんは、親に認められ、美しい婚約者がいて、そのくせ「俺の一生は敷かれたレールの上を走るだけ・・・」とかうじうじしてる。
・・・・イラッと来たところまでは、理解してあげても良いと思います(笑)。
彼は与えられなかったシルシを望むばかりに、自身が持つ絵の才の価値をわかっていない(代わりに、それをわかっていたのがリョウスケさん)。
少し話は逸れますが、今回は背景に物が色々置いてあって、画面が狭い印象を受けました。
通常のこの作品はもっと広々している印象なんですよ。空や海のスペースを十分に取るなど、今までは開放的な画面作りが意識されていた感じ。
それが今回は、格子状の柵とか、敷石の区切りとか、背景を構成する要素が逐一細かい。空とか海のシーンでも、その手前に岩があったり木があったりで開放感が削がれるんです。シンゴさんの寝てる部屋も、置かれている機材等で広さを感じにくい。
今週はそんな具合だったんですが明らかな例外が二つあって。
ひとつは、リョウスケさんとソラさんが眺めていた見事な虹。そしてもうひとつが、トキオの描く絵。
虹の絵は、ソラさんが描き足されても狭苦しさは感じさせない。自分の人生に閉塞感を抱えていたリョウスケさんが惹かれるのもわかります。
あとソラさんがモデルの方も、細かさとは縁遠い大胆な絵ですよね・・・色んな意味で(笑)。
・・・話を戻しまして。
三者三様に嫉妬しあっていたトキオリョウスケソラ。そんな感情を抱くことはやむをえないとしても、しかしそれに従って他者を傷つけたことは、明確な誤り。
その理由をこの作品の言葉で説明すると、それはやりたいことでもやるべきことでもないから。
やるべきことでない・・・というのは、そのままの意味で、人の嫌がることはしちゃいけませんっていう人間関係の基本。
やりたいことではない・・・というのもそんな複雑な話でもなく。
欲しい物がある人間が真にしたいことは、それを手に入れることのはずで。その持ち主を害するというのは、自分ではそれ(欲しい物)に手が届かないから、代わりに走っただけの代償行動。
だから与えられなかった者が与えられた者を傷つけるのは、やりたいことでもやるべきことでもない。それでは世界の声なんて聞こえないし、破滅するだけ。
この事例を知らないタクトたちが嫉妬に突き動かされるようなことがあれば、黄信号って気がします。
3.レイジは何故レイジ?
有名な、ロミオは何故ロミオなの?の台詞と重ねてみたんですがわからないですねすみません。
それはそうと、先代三人組の名前は意味深で、考えを巡らせるのがすごく楽しかったです(今代も意味有りげですが、彼らはこれからまだ何かが出てくるかもしれないので控え中・・・)。
まず最初に思ったのは『トキオ』は『ソラ』と合わせて『時空』、なのかなぁ・・・と。
『時空』という語のうちソラさんの名が示す『空間』は理系的な単語だけど、もっと概念的に『世界』くらいに広く捉えた方が合ってそう。
それだと綺羅星が「世界を手に入れる」こととも微妙につながってくるかもしれません。
暗示だけでなく、実際にヘッドは再び彼女を手に入れることになるのだし(世界全てを支配すれば、その一部であるソラさんも自動的に手中に収まるわけで・・・生きてさえいれば)。
それから、ツナシ・トキオ⇒ミヤビ・レイジと名を変えるのも興味深いです。
『永遠』に惹かれたトキオは、流れる『時』とともに生きることを拒んだ。そんな状況に合致していると思います。
そして彼が『永遠』に執着する理由。先にも少し述べましたが、それは彼がうまく継承ができなかった人だからなのでは。
彼は父親からシルシの継承を拒まれ、後継者になり得たはずの息子を連れてゆかれることになる。
(そして別々に育った息子のタクトは、トキオにあまり似ていない。タクトは、じいちゃんやナツオの影響は受けても、実父からは何も受け継いで無いように見えます)
先代からの継承に失敗し、次代に継承させることもままならない彼が、今代を永遠にと望むのは・・・筋が通ってる(その行いが許されるかどうかは別として)。
彼が名乗る『レイジ』――零時は、前日と翌日の交差するポイント。
昨日でもあり今日でもある、今日でもあり明日でもある、明日でもあり・・・そんな特異な性質を持っている。
過去と未来を兼任している。それは、継承する必要も、継承させる必要も無いということ。零時――レイジはまさに、ツナシ・トキオがこうありたいと望む存在なのではないかと。
トキオは、自分が死に、その後に何も残らないのが嫌なんだと思うんです。もしかしたら絵を描く趣味も『永遠』への執着だけでなく、自分が消えた後に残るものが欲しい、という無意識の願望を反映しているのかも。
父親からシルシを受け取っていれば、それを息子に伝えることで、自分が生きた証を残せる。でもそれが無理で、通常の時間に背を向けた。時の静止したゼロ時間を求めた。
でも本当に理由がこれなら、解決策は既に作中にあって。しかもその方法を知っているのが、タクト。
タクトには、今は亡きナツオという友人がいる。ナツオは年齢からして子どもはいない。彼の死によって後世に血筋は残せなくなった。
けれど、何一つ残せなかったわけではなくて。ナツオの輝きはタクトが受け継ぎ、今はタクトが輝いている。
それも、タクトが輝きだしたのは、ナツオの死後。死は絶対で避けられないけど、でもその人間が残したものまでは消し去れない。
タクトがヘッドにそれを伝えれば、彼を『永遠』への執着から開放できるのではないかなぁ・・・。てなわけで、第二次親子対決に期待(第一次はヘッドさんが尻すぼみだったし・・・)。
このラインで考えると、タクトの名は意味的には『託人』かも。しかしそれだと、皆に輝きを託した後に何処かへいってしまいそうな雰囲気を感じてしまうのが少し怖い・・・
漢字の想像は、リョウスケさんの場合は『良輔』か『良助』だと思います。『輔』(補佐役・・・NOT指導者)か『助』(助ける)ってところかな、と。
『良』は・・・良い人だから(笑)。バニシングエージの良心ですよね、本当。
カタシロさんは『形代』なんだろうなぁ。だとすると、意味は『身代わり』・・・誰の? あるいは何の? ・・・あー、これはやっぱりもう少し待ちで(笑)。
4.次回以後は?
ワコが眠っていたのは、細い柱と屋根に囲まれた鳥籠のような場所。カタシロさんとトキオが話していた部屋は、ベッドの形からして後にヘッドの私室になるだろう場所。そして、映った鎖。
次回の彼女のための前振りと解釈しますがよろしいですか!(質問ではなく確認口調)
しかし予告の彼女には「おかえ・・・」って言いかけて途中で「ちょっと何処ですかそこー?!」とシフトしてしまいました。服装と景色が合ってないですよー、見てるこっちが寒いので何か羽織ってください!(笑)
作中は今は夏の終わりくらいですよね・・・南半球? 歌詞の風景を見るため赤道越えてしまうなんてことは・・・無い、と言い切れない気もする(笑)。
でも服装からして回想シーンだったりして・・・。双子も最終話までに帰ってきてくれるのかなぁ・・・?
今週のあれやこれやで、ヘッドもラスボスの可能性を残してきたような・・・
・・・・・・・・・意外だと思ってしまったのは何故だろう(笑)。敵組織の実質的リーダーなのに・・・普通の展開じゃないか!
そういえばソラさんの苗字はそう言えばわからず終い・・・島出身の誰かのお身内とか? 最近ヘッドお気に入りだった彼女・・・もしくは意表をついてエンドウとか。
てなところで、今回は終わります。
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了解しました。のんびり待ちますので、急がなくて大丈夫ですよー。
わざわざご連絡ありがとうございました。