STAR DRIVER 輝きのタクト_第16話『タクトのシルシ』感想 / テレビアニメ
一言結論:夢見るだけの子どもは辞めて、彼女は大人になった。
ネタバレありますので、以下は続きから。
良かったあぁー!(第一声) 良かったなぁ本当、良かったよぉ・・・
何が良かったなのかは「この話なら、あれかな?」と思うだろうところです、単純に(笑)。最後にもう一回だけ。良かったね双子ぉー!
双子にあのラストをもたらした最大の理由は、ミズノちゃんが大人になった、もう何よりそのことだと思います。
何にも縛られることなく、自由に夢を見るのは子どもの特権。大人になるというのは、その自由を失うことなのかもしれない。
けれどその代わり、大人には現実を作り上げる力がある。その力は無限には程遠く、思い通りにならないことも多いけど、でもそうして自ら築き上げた現実は夢幻のように消えることは無い。
ヨウ・ミズノが大人になって作り出した現実が、マリノさんで。だから彼女はそこに在ることができたのではないかと。
ミズノちゃんが母親から(精神的に)一人立ちしたのも、マリノさんの確立に重なるものがあるように思います。
母によって産まれた子どもは成長し、親とは切り離されてひとりの人間になっていくもの。
ミズノは親離れをして、以後はもう母に揺るがされない。それとは少し違うけれど、マリノもミズノから離れた別個の存在――一人の人間となって生きていくのでしょう。
おそらく今まで(14話以前)のマリノさんなら、妹が泣くのを見過ごすような真似はしないと思うのですが。それが今回は、高いところから「・・・あんたのうしろ」だもんなぁ・・・。台詞だけなら怪談かと(笑)。
妹の世話役を卒業したマリノさんは、もうミズノちゃんに振り回される一方ではないってことなのでしょう。
フジノさん(姉妹の母)の駄目ポイントには、金銭感覚(この時点でかなりキツイですが・・・)以外にも、自分の都合で娘を放り出したということが有るわけで。だったらミズノだって勝手にマリノを消したら駄目だろ、ってことなのではないかと思います。
ミズノの成長に必要だったのは、弱い自分を含めた辛い現実を受け入れること。
綺羅星に突きつけられた格好ではありますが、彼女はそれをやり遂げた。あの時、泣いていたのは自分の方だった、と姉に押し付けていた己の弱さを認め、気は進まないはずの母との対面に臨む。自分自身でそう決めた。
分身だろうと何であろうと、かけがえの無い姉妹のために。
嫌なものを見ようとはせず、姉に尽くしてもらうばかりだったミズノちゃんのこの成長は大きい。封印を破られはしたものの、二人でハッピーエンドを迎えられたのは、タクトだけでなくこの子の頑張りによるものでしょう。
「やりたいこととやるべきことが一致する時、世界の声が聞こえる」が、友人から受け継いだタクトの信条。
「ボクはただ、楽しいことを考えたくて・・・」と言っていたミズノちゃんはきっと『やるべきこと』ができてなかった人で、「ワコを守りたかったのは確かだ」なのに、アプリボワゼをワコに止められていたスガタくんは、『やりたいこと』ができていなかった人。
母との決別は、ミズノちゃんが心からやりたいことではなかったかもしれない。だから彼女はまだ『やりたいこと』と『やるべきこと』の一致までは至っていないのではない気はします。
でも、本心では気が進まなくても、やるべきことから逃げないという姿勢が、とても大切であることは間違いない。それができたミズノちゃんには、世界の声よりももっと聞きたかったマリノさんの声が聞こえた、と。
・・・・・良かったなぁ、本当に(また・・・)。劇の本番前に帰ってきてもう一波乱なんて展開も可能か?(笑)
あ、それと「あなたにはわからない」とタクトに言われたヘッドは、もしかしたらその両方ともできていなかった人なのかもしれませんな。
彼の行動の動機はまだわからないので、断言はできな・・・これで退場で、永遠にわからないってことは無い・・・よなぁ。でも、電気柩抜きで直に乗り込んだ機体がドカーンと・・・
き、きっと来週は元気な仮面・・・もとい顔を、まあ少しは凹んでらっしゃるかもしれませんが、ここで退場はちょっとあんまりですし! 次回の総会、席に写真とか花瓶とかが、なんてことは・・・
とりあえず今は、あの後味良い終わりの立役者、悪役なのに空気を読み過ぎてしまったヘッド氏への感謝を込めて、彼がいるはずの南へ向かって敬れ・・・もとい綺羅星っ!
しかし隊のスタードライバーが揃ったというのに代表が負けてしまわれましたよ・・・。クラス剥奪となると残った三人組の人以下・・・・?
ヘッドさんのピークは1話の気多の封印を解いた時だったのではないだろうかと思うと切なくなってきます。以降はサカナちゃんとか威厳とか、もうひたすら失いっぱなし。何という転落人生(笑)。
でもこれはきっとあれですよ、少年マンガなんかでよくある、『元強敵が味方になったら何故か強さが半減・・・』の逆パターンで『味方になったら急に強くなった元敵』という新機軸の下準備に違いない!
それはそうと、サイトのキャラ紹介ページは『バニシングエイジ』なんですけど次回予告は『バニシングエージ』となってるんですが・・・どっち?(追記:また見に行ったら『バニシングエージ』表記に。・・・見間違いだったか?)
敗者の今後は次回以後に持ち越すとして、勝者のタクトくんについて。何せ今回は『タクトのシルシ』ですし・・・今の今まで触れずにおいてよく言うよ、って感じですが(笑)。
いや、正直・・・・・負けると思ってました(笑)。
しかし実際は、いないところで立てられた負けフラグなんか知るか!と言わんばかりの大逆転。流石は銀河美少年、何かが違うとはこのことか・・・・!
あと、過去映像が本邦初公開。以前の『閉じてた』(ナツオくんがいた頃の)タクトは「本当にやるの?」とか「そりゃそうだけど・・・」とかやや自信が無さそう・・・まあ、あのくらいが普通ですかね。
ただ、そのあたりの話はワコとしかしていないから、スガタくんは知らない、と。
「力そのものにも興味が有った」と言う坊っちゃまは、現在では無く過去のタクトに近いように思います。ナツオの輝きに魅せられていた頃のタクトに近い。
けれどそんな憧れの友人が病死(言わば、病との戦いに力尽きた)したことで、タクトは彼の『力』ではなく『生き方』を望むようになって、実際に動き出した。
この過去の場面の中で良いなと思うシーンは二つあって、ひとつは飛んだタクトの視界に山越しに海が見えるカット。あの海は南十字島につながっているんだな、と思うと胸にくるものがあります。
それからもうひとつは、飛んだナツオを見上げるタクトの髪が風で揺らされるシーン。あの時が、きっとこの『輝きのタクト』の物語が始まった瞬間なのだろうな、と。
1話の冒頭でワコが風を感じていたシーンを思い出しました。
そうして今の輝きを得たタクトなのですが、ワコが「その頃のタクトがいたから今の(元気な)タクトがいる」と言っていたように、かつて『閉じていた』彼が存在していたことは消えない事実。
そんな、ともすればあまり思い出したくないような過去の自分をタクトは否定したり忘れたりしない。自分はそこが彼の一番の長所だと思います。
昔の自分を無かったことにしないからこそ、「力そのものに全く興味が無かったわけじゃないんだろう」というスガタの質問に「まあね・・・」と肯定を返したのではないかと。
目覚めないスガタに泣いたワコを思えば、説教しやっても良いんじゃないかと個人的には思うのですが(笑)、でもここで言葉を尽くしたところで納得が得られないだろうとタクトにはわかっているのでしょうな。他ならぬかつての自分がそうだったのだから。
誕生日に起きた事件は、タクトにとってはナツオの死の再現されたようなものだったのかもしれませんねー。それなら「仲良し三人じゃなくて、実際は二人と一人・・・?」とナイーブになっていたのもわかるかも。
実際に恋愛感情があったのかまではわかりませんが、少なくともタクト自身は、ナツオは自分よりもハナと親しいと見ていたように感じました。
ただ、似たような事件に遭遇して昔のことを思い出すのは仕方ないですが、スガタとワコに在りし日の二人を重ねてしまうところまで行くとちょっと不味そうですけどね・・・。あの二人の変わりにスガタとワコが幸せになるところを見たいとか、二人の間に入るのは辞めようとか思ってしまうとか。まあ、そんな展開は作風とズレがあるので無いと思いますが。
ともあれ日曜日は一緒の仲良し三人組。そういえば、賭け試合は・・・流石にワコがツッコミを入れたのか。
しかし、イチャイチャ長風呂(笑)に一瞬とは言え本当に入っちゃいそうになるワコに・・・何か、休日つぶしてミズノを待ってたケイトさんがすごく不憫になりました(笑)。
片思いらしき相手プラス美少年なクラスメイトとあんなことになってるなんて・・・・・それはもう、一瞬本当に殺意が湧いたとしても責められませんよ。ただならぬオーラをまといもする!(笑)
今回の彼女はミズノにも容赦なかったですねぇ・・・。休みの日だというだけでよそよそしいのは学校以上に貴女だと(笑)。
それにしても綺羅星が巫女に与えるのは鳥籠かパイプ椅子に限られるのか・・・(1話でワコも体験)。衣装と装置に資金を注ぎ込み過ぎてそこまで凝れないのかなぁ・・・・・それにしてもパイプ椅子て。
そう言えば、ミズノちゃんの危機をワコと一緒に副部長も(誰が連れて来たんだ・・・)察していたような・・・つまりはワコの分身? 黄色いところも同じ! でもそれだと二番煎じ・・・・いや、先に登場していたのはこっちか(そういう問題でもない)。
以下は余談。
タクトの衣装はタウバーンを動かす(もしくは乗る?)ために必要なもののようですな。シルシが力を失うと消えるってことは。正直、「まあ、その方がカッコいいよね」と意味を深く考えたことなんてありませんでしたが(笑)。
既にいたとはいえ、ミズノちゃんは最初で最後のゼロ時間なんだし「颯爽登場!」をやってあげてほしかった・・・(見せ物と違います)
そう言えば今回のゼロ時間カラーは、オレンジから、赤と青プラス紫の雲に変化してましたね。前者は夕焼け色の西の空を、後者はヘッドを連想しました。赤と青は混ぜると紫なので・・・ってそれでヘッドっていうのは我ながら安直(笑)。
あと、タクトのじいちゃんがご存命のようで何より(あれで1年前ならまだ生きてるのではないかと)。シルシの継承は死ななくても可能だったのか・・・。
どうでも良いですが、小柄な方だったのが意外でした。元銀河美少年(多分)ってことは、きっとすらっと背が高くて・・・タクトの師匠だろうから老師っぽいヒゲをたくわえてて・・・なんてイメージを膨らませていって、最終的に戦艦の艦長風のロマンスグレーな予想図ができあがったんですが、ゼンゼン違った!(笑)
それと、ニシモリのおばちゃんがすごい・・・
面倒を見る子どもが一人だったはずが二人になって(戸籍はどうしたんだろう・・・?)、しかも二人とも私学(多分)に通わせるとか、その生活力をフジノさんに分けてあげてください(笑)。もしかしたら、マリノさんは奨学金とってるのかもな・・・
よし、今回は早めにできた・・・世間的にはともかく、自分的には(笑)。
それではー。
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