STAR DRIVER 輝きのタクト_第14話『アインゴットの眼』感想 / テレビアニメ
一言結論:日死の巫女の守護天使、消失
ネタバレありますので、以下は続きから。
ラブコメかと思いきや、ホラーないしミステリーのような展開に。
瓜二つの双子に分かれた明暗。タクトの存在が均衡を崩し、綺羅星も追い込みをかけてきた。
更にマリノさんには、それら周囲の状況より一段重い何かが背負わされている可能性も。
「私がいない」って・・・存在自体が危うい予感がしますな。「ミズノの教えてくれた魔法の呪文が、私を、私にしてくれた」って文字通りの意味だったのか・・・?
網にかかろうとしているのは、標的である妹か、それを守ろうとする姉か。むしろ二人とも・・・くらいまでは想像してたんですがね・・・。『二人』はあり得ない、故に一人・・・なんて可能性があったとは。
この一件が終わった時、双子が一人になっていそうで怖い・・・。しかもどっちが残ったのかわからないとか。
名前と声はミズノちゃんで、髪の色と性格はマリノさんとか・・・そんな感じの話を別のアニメで見たんですが(関係無い)。
それはひとまず置いておいて、本編を時系列に沿って追ってみます。
まずは銀河美少年ツナシ・タクトによる、双子のお宅訪問イベント(笑)。
引き出しの布地に反応するタクトくんですけど・・・いやいや、ハンカチとかタオルかもしれないじゃないですか、アイロンかけてないだけとか! この思春期め!(笑)
そして双子の反応するタイミングのドンピシャなところが面白い・・・イメージ画の違いでそれぞれの性格出しつつも、こーゆーところはおんなじだな(笑)。
しっかしメルヘンチックな妹に比べると、お姉さんの方はややリアルか。そして「うおりゃああぁぁ!」のあまりの力強さに噴きました(笑)。
「彼女はいない」と聞いた途端に夕飯のお誘いとか双子は急に積極的に。これまで明確なアプローチをしてこなかったのは「初恋だからどうしていいのかわからない」とかじゃなく、「他人のものに手を出すのは・・・」ってことだったのかぁ。
ガンガン来られそうな気配を察したタクトは退散。シンドウ家には泊まるくせに・・・(笑)
この時「おばさんは夜勤・・・」みたいな台詞がありましたけど、このおばさんも存在してなかったりして・・・(疑心暗鬼)。あと、美容室に一人で入ったミズノちゃんだけど、その夜マリノさんが鏡を見たら「あれ? 何か髪が短くなってるような・・・?」とかも怖いなぁ・・・
恐怖展開予測はさておくとして、今回のポイントは女の子たちの気付きですかねー。ワコはミズノの恋心に、ミズノはマリノの恋心に気付いた、と。
ラストの「もう大丈夫」「タクトくんってかっこいいよね」とマリノさんが言う場面は、「絶対に気付かせない」「好きになるものはいつもいっしょ(これだけミズノの台詞)」のシーンと対応しているのでしょうな。
でも個人的に気になるのは、好意がはっきりと描かれた双子とは対照的に、ことごとくぼかされるワコ。
タクトに接近する女の子を目にした時のワコの反応はほとんど見えないのですよ。野球回でも今回でも、彼女の表情が映らない位置や角度にカメラ(視点)が配置されている。
ワコの心を物語るのは、カップに溢れんばかりに入れられた砂糖。画面内にいるのは、表情豊かなルリちゃんだけ。脳内妄想さえ駄々洩れの彼女は、あの時一体どんな顔をしていたのか。それはまだ秘密。
ここはヒロインの顔映すとこだろ、ちくしょう焦れったい! ・・・って明らかに作り手側の狙い通りの反応ですな自分。楽しいから良いんですが。
その表面がひっぺがされる展開は来ると推測できるのでここはおとなしく見守ろうと思います(何様)。
ちなみにその根拠は、マリノさん。妹を懸命に守ってきた『理想的な姉』が今回陥落したわけで・・・ワコもいつまでも保つまい、と。
何か話題が一周回った感じですが、今回のメインはマリノさんということで、もう少し彼女について語りますと。
マンティコールことヨウ・マリノさん。彼女は、ここが分岐点だったと思うのです。何と言うか・・・今までの彼女は、今回で死んだのではないかと。
下手人は、ヘッドでもイヴローニュさんでも無論タクトくんでもなく、アインゴット。『理想的な姉』としてのヨウ・マリノは、あの邪悪なサイバディに喰われて消えてしまった。「助けて」と言ってしまったその時に。
たとえ命は無事で(「日死の巫女はいなかった」と宣言して目的を果たすのですが)、あの一瞬、彼女は自身の存在理由を忘れてしまった。故に『死んだ』。
それまでのマリノさんは、自身の恋心に蓋をし、命の危険もいとわず、ただただに妹の守護者として尽くしてきた。その献身を貫くのであれば、あそこで助けを求めてはいけなかった。
これは、命を惜しむなってことではなくてですね・・・「死にたくない」と思うことは有りなんだけれど、でもその場合の理由は「ここで死んだらミズノを守れない、守りきれない」であるべきだと。
自身の存在が揺らいでいたとは言え、喰われるのが怖くて敵にすがりつくというのは完全にアウトですよ、守護者としては。
しかし、それが良い!(断言)
個人の主観であることは承知の上で、声を大にして言いま・・・書きますが、それで良い! 人間が、自分のために生きて何が悪いか、いや悪くない(反語)。
大切な誰かに尽くす人生を否定はしませんけど、
誰かのため > 自分のため
だと、一生貫くのは難易度高過ぎると思うんですよ。人の身には重過ぎる。
誰かのため = 自分のため
でないと途中で辛くなると思いますね。自分の幸せが得られないから。
自分はこういう考えなので、今回のマリノさんの行動にはめちゃくちゃ肯定的です。否定しないとかではなく、擁護する気満々です(笑)。アウトだなんだと言いましたが、それは彼女を人間として見なかった場合ですね。
理想通りになんて生きられないのが人間ですよ。彼女も、そうであってほしい。
あと、これはメタな見方ですけど、マリノさんが『人間らしい』ほど生き延びる目が増す気がするんですよ。
もしかしたら彼女は存在しないのでは・・・なんて展開ですが、『人間』としてのバイタリティーが希望をつなげてくれるのではないかと。
・・・・・あ、この作品ではそういう時は、リビドーって言うんでしたっけ(笑)。でもリビドーリビドー言い過ぎじゃないかと思いますこのアニメ(笑)。・・・・まさかプロフェッサーはともかく坊っちゃままで・・・
とにかくマリノさんには生き延びてほしいなぁ。ドロドロしたって良いじゃないですか、泥まみれだって青春は輝くのですよ!
一連の事件が終わった時、無邪気な魔女っ子も理想的なお姉さんもいなくなっているかもしれない。どこにでもいる普通の姉妹になってしまっているのかもしれない。
そしてそんな彼女たちは、人によってはつまらない女(たち)になったと、がっかりされるのかも。でも、言いたいやつには言わせておけば良いじゃないか。生きてこその青春だ!(熱弁)
それにしても、アインゴットは怖かった・・・肩の目玉に、生物の骨を思わせるフォルム。ロボっぽいデザインだった今までのサイバディとは一線を画していた感じで。
巫女の守護天使たるマリノさんを引き裂く存在ですからねー、魔物の雰囲気も相応しいのではないかと。
追い詰められるマリノさんの「やめろ・・・私を貪るなっ」の台詞も印象的で。
『喰われる』ことに対する恐怖は、生物の根っこにあるもの。これには、単に「死が怖い、消えるのは嫌だ」以上の意味があるのでしょうな。
喰われることは、すなわち自分自身を略奪されること。その後には、(消化吸収されて)捕食者の一部とされてしまう。
妹のために自分を殺してきたマリノさんであっても、その恐ろしさには抗えない。
だからこそ、そこで彼女を救うタクトがかっこ良い!
存在意義と引き換えにした「助けて」を聞き逃さず、顔も知らない相手であっても躊躇わず手を差し伸べる、これは確かに恋に落ちる!
赤と黒、血を連想させる不気味なゼロ時間も彼の勝利とともに明るくなっていくのが綺麗でした。
それにしてもサイバディが勝手に動くとなると・・・ラスボスがサイバディっていうのもありなんですかねぇ・・・ほら、ザメクとか味方よりラスボスのサイズじゃないですか(その判断基準はどうなんだ)。
アインゴットの眼を使用した(マリノさんが見てる。・・・すみません、言いたかっただけです)マンティコールが反応した、イヴローニュ。
ヒガシの巫女はケイトさんで確定ですかね。歌うシーンが想像しにくいのですけど(笑)。元々皮肉屋ではありましたけど「仲の良い姉妹」とか、彼女はどんどん怖くなっていく・・・。
幹部の正体を知っていたのは、ヘッドからの情報だったのかも。タイガーさんを乗せたへーゲントが2隊のサイバディだったり、この二人は秘密裏の繋がりがあっても不思議ではないですし。
何だか、隊の順番にも意味があるような。(1隊は空席で)2隊ヘッド、3隊ケイトさんときて、あとはスポンサー、旧家、技術者と続く。金に血が負けちゃう辺り世知辛いなぁ(笑)。
あとここに来て復帰のヘッドが部下に慕われていたのが何となく意外でした。・・・やはり男と相性が良いのか!(笑)
余談。今回は、理容師さんとかおばちゃんとか学外の人間が出てきましたけど・・・あの島の住人は濃いですな(笑)。
そしてタクトは通称「タクトちゃん」なのか・・・良い。その呼び名を使いたいくらい気に入りましたが、自分の場合はキモいから自粛(笑)。
それからゼロ時間で綺羅星幹部全員(マンティコールさんは除く)が映るカットに、「おおっ」となりました。今まではあんまり無かった気がするので。
さて、次回が楽しみすぎて困ります。
守護天使は死を迎え、後に残ったのは何か。消えゆく定めの幻か、ただの少女か。怖い・・・楽しみだけど怖い。
ミズノちゃんは良い子だからこそ、自分のために姉が犠牲になるなんて望まないのでしょうが・・・やっぱりマリノさんの正体がネックだなぁ。
ちゃんと他人に助けを求められたっていうのは、破局したヘッドとサカナちゃんに比べると良いんじゃないかと思うんですけどね・・・。誰とも交流を持たず、言われるままに出て行ったことがあの二人の結末の一因だと思うので。
というところで今回で終わりー・・・ぎりぎり間に合った。それではー。
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