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東京マグニチュード8.0_第4話『三人の、約束』感想 / テレビアニメ

 

一言結論:『大丈夫』を自ら得る『大人』、それを受け取る『子ども』


 以下は、ネタバレありなので続きから。



 トイレをガマンしてうずうずしたり順番待ちで揉めてるあたりは比較的穏やか――日常でも見られるだけに、東京タワー倒壊の衝撃がすさまじかった今回のお話。
 自分に向かって落ちてくる瓦礫ってあんな怖いのか・・・
 あれは、自分だったら足すくむ。そして、潰されて死ぬ。

 ラーメンをかけられ、踏まれた足で捜しに走って。この窮地を脱出した未来は、少し成長したってことなんでしょうか。
 前話では、真理さんの気持ちを察しただけで成果は特に無かったわけですから。
 今回の後半は『大人』の助けはほとんど無かったと思います。
 大泣きしてるのを見つけた人も、なにもしてくれなかった。二人だけで仲直りして、真理さんのところまで帰り着いた。
 今までの成長スピードの感じからすると未来の急成長は望めないと思いますが、それでもじょじょに大人になってくれるんでしょう。
 といっても、現時点では『大人』と『子ども』の狭間で相変わらず宙ぶらりん。
 「おやつで釣られるほどコドモじゃない」と言いつつ、「いるよねー、あーいうオトナって」とこぼしたり。
 さて、キミはどっちだというのか。

 姉にとかく気を使う悠貴は精神年齢高そうでは有るけれど、結局のところ無力な子ども。
 未来だってわからないことは想像できているのに、両親の安否を尋ねる。
 彼が欲しかったのは真実ではなく「大丈夫」と不安を打ち消す言葉。
 なのに、未来はそれを言ってくれない。だから真理さんに「帰り道、大丈夫だって」の言葉を与えてもらって喜ぶ。
 立派に『大人』な真理さんは、『大丈夫』を自力で見つけてくる。それだけの力を持っているのですが。
 でも、未来はそのどちらにもなれない。
 人に頼って『大丈夫』を得ようとしないけれど、独力ではそれを得られない。
 頼みは携帯のみで、それが使えなければお手上げ。できることは「(両親は自分達のことが)心配じゃないのかもね」という逃避のみ。
 1話の様子からすると、ほったらかされていることを不満に感じつつもそこまでは思いつめてはいない様子だったので、これは強がりでしょう。

 弟に八つ当たりしてしまうのは、未来自身が不安に押しつぶされそうで、もう他人に気を使っていられないから。
 地震の前は、悠貴に気を配る様子が見られました。だから、常日頃から思いやりが無いってわけではないと思うんですよね。
 けれど、今はその余裕が無い。
 で、これが冒頭のトイレの話とかぶる構成になっているんだと思います。
 初めのうちは必死に我慢するんだけど、ついに耐え切れず簡易トイレに走る。
 トイレも感情も限界まで我慢した、と(笑) いや、真面目な話。
 二人で思いっきり泣けたことが、いい風に作用するといいなぁ・・・
 今後、未来が『子ども』の部分を出せる状況はきっとどんどん減っていくのだろうし。

 気遣いのできる好少年、悠貴くんも初めて姉に反抗しましたね。名前を呼ばれているのが聞こえていても、無視して東京タワーへ。
 タワーがやばいのなら麓の公園も立ち入り禁止にするべきなのでしょうが・・・・未曾有の大災害ともなれば判断ミスもあるんでしょう。
 死傷者としては、それでは納得できないのでしょうけど・・・・
 ともかく出来のいい弟くんは、見たかったのはロボット展などではなく「橋」だったという本音も明かします。その「橋」の意味は、これだけだと未来には伝わってないかな・・・
 この子がいい子だということに異論は無いんですけど、人間ができているってわけじゃない気がするんですよね・・・
 「おねえちゃんを安心させたい」という気持ちは嘘ではないけれど、きっとそれで自分のことを安心させてほしいんだろうなーと。
 『子ども』が両親を慕うのに、本能は抜きにできないと思うのです。
 どんな動物も、愛されやすい可愛らしい容姿をしている。それは、弱い自分をどうにかして守ってもらうため。
 それは悪いことではないけれど、別に良いことでもない。生まれついての習性。
 ただ、この子くらいの年になれば一緒に暮らすうちに育まれた愛情も有るのでしょうけど。
 実を言えば、彼があまりに人格者すぎて素直に受け取れなかったんですよね・・・
 携帯で写真撮ったり順番に割り込んだり、非常時だっていうのに駄目な人間の姿をきっちり描いてるだけに尚更。

 そういえば、布に包まれて詳細は伺えないまでもついに遺体と接した二人。
 次回の避難所では、遺族と接触したりするのかもしれませんね。
 それだけなく、人がいっぱいいるということは・・・そろそろ人災が来そうだな・・・

 それからサブタイトルの『三人の、約束』。
 今回は姉弟の話で真理さんの出番少なかったのに何で?と思ったのですが、これは現状を正確に表しているのかな・・・
 最後の真理さんの言葉に、返事を返したのは悠貴のみ。未来は黙ったままでした。
 黙認であっても、積極的に同意していない。
 三人でした取り決めだから一応守るけれど、そこに未来の明確な意思や決意は無く。
 そういう彼女の消極的な意思を踏まえて、『三人の』約束なのかもしれませんね。

 危機を乗り越えても全然安心できないのは、作品の性質上もうしょうがない。
 大人しく次回を待つことにします。
 それではー。



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