トップページ » 『宇宙をかける少女』小説版感想+最終回前雑談

『宇宙をかける少女』小説版感想+最終回前雑談

 

 『そらかけ』小説版を読んでみました。それから、アニメ版の最終回を前にした感想もちょこっと。

 以下、ネタバレありなので続きから。



 アニメ版とは設定も展開も違う『そらかけ』アナザーストーリー。
 作風も大分異なるので、興味深かったです。
 冒頭からその辺ははっきり示されているので、アニメとは完全に別物として読み進めることができました。

 全体的に、登場人物達がアニメより真面目で良い人になっている印象です。あのレオパルドでさえも。
 とはいえ表側は違っても根本にはもちろん共通項があるので、確かにアニメ版のあの子らも内にこんな一面があるのかもしれないなーと思いました。
 キャラクター別に見ていきますー。


獅子堂秋葉

 小説版でも勿論主人公。でも、随分性格が違う感じです。
 けっこう真面目でちょっと凹みやすい印象です。彼女の環境で、シリアスキャラにするとこうなるでしょうな。
 姉の自覚が薄く、無責任で、努力の意識に乏しいアニメ秋葉。でもこの辺変えてしまうと、この子はもう別人になるんですねー(酷)。
 アニメ秋葉には彼女の良さが有ったんだなー。もちろん、小説版の一生懸命な秋葉もいい子です。

 でも一番驚いたのは家庭環境についての設定の違いですね。
 アニメとは別世界の彼女、一人っ子とまではいきませんでしたが。
 四姉妹になってました。
 ええ。
 妹、一人減ってます。
 ・・・・・もう好きなだけ暴れるといいよ四女。
 開始1ページ目から、この四姉妹設定と5歳児秋葉の暗さに驚愕しましたね。
 あーでも、この暗さはナミがいない所為もあるのかもなー。

 それにしても、幼秋葉の根暗っぷりは重症だぁ。
 この年で自分の凡才を悟ってしまえばこうなるんでしょうけど・・・・っていうか、周りもひどいわー。
 5歳の子どもを陰で「できそこない」「まがいもの。才気の欠片もない。残りカス」とかあんまりだ。落ちこぼれってわけでもないのに(この世界は5歳でテストがあるのか・・・)。
 そんな彼女に運命の出会い。・・・・これは、アニメでは誰一人達成し得なかった『恋愛イベント』!?
 でも、5歳児の目を塞いで「魔法をかけよう」とか言い出す碧眼青年っていうのは通報されそうな感じです(笑)
 その彼とレオパルドの関係は、下巻のお楽しみということで。

 17歳になった現在の秋葉も、姉妹たちへの劣等感に時折とらわれて落ち込んでしまう様子が見られます。
 その反動なのか、命が危ない状況にわくわくと高揚感を覚えたりとやや危険な一面も持ち合わせてしまっているような・・・
 基本的に前向きな姿勢はお馴染みの彼女の通りなのですが、これは素ではなく意識して作っているようです。
 でも、姉妹たちへの劣等感を刺激されると割と簡単に沈み込んでしまう。
 いつも傍で支えてくれているイモちゃんは不在。浮上は自力でやらないといけないので大変そう。

 そういえば、イモちゃんの扱いも大分違います。
 驚いたことにこの上巻では、彼女に出番は全くありません。
 名前が出てくるのでちゃんと存在しているはずですが、いかんせん本人が登場しないので性格の細かいところまではわからない状態です。
 これは、ラストで秋葉のアタマがぱかっと開いてイモちゃんが出てきたりとか・・・。真面目すぎる性格の説明もこれならつくし・・・・(酷過ぎ)

 ともかく、そんな秋葉は12年前の約束を果たすためがんばっているようです。その懸命な様子に、出会ったばかりのいつきさんがえらく感激してました。
 他にも、唯一の妹である桜を危険に巻き込まないよう努めたりとえらくいい子になってます(反省を終えるのは早いですが)。
 自称「褒められて伸びるタイプ」が「叱ってくれる人がいるって、嬉しいことなんだね」とか言い出すんだもんなぁ。びっくりしたー。
 あ、頭の方も良くなってる感じですかね。高嶺さんの受け売りの知識ですが、それをピンチに活用していたり。
 レオパルドの表現もアニメ版(公式サイトstoryより)の『ひし形』に対して『八面体さん』と、なにやら賢そうな印象。
 そんな彼女の目から見て、レオパルドは属性はバカ」らしい(笑)。

 と、何だか違う点ばかり挙げてしまいましたが、もちろん共通点も。
 普段がへにゃっとしてるせいか、秋葉は怒るとちょっとかっこいいなーと個人的に思っているのですが、小説でもそれは健在。
 「あんたにかけられた魔法は、間違っているわ!」とレオパルドを叱りつけるシーンが好きです。
 神楽直伝「女の武器は腰の入ったストレート」に加えて涙まで。レオパルドもこれには堪えた様子。
 コロニーに接続できなくなったレオパルドを立ち直らせたキックに変わって、こちらの秋葉の武器は拳に決定!

 そういえば、小説だというのに挿絵を使ったサービスシーンがあったのには驚きました。
 家へ送る映像をわざわざ温泉で撮ってるとか思いっきり読者サービス。湯気で視界がぼやけるところまで再現です(笑)。


レオパルド&ほのか

 レオパルドの偉そうなところは相変わらずですが、精神的にずいぶん大人になってる印象です。
 落ち込む秋葉を励ましたり、彼女を危険から遠ざけるために嫌われ役をやってみたり・・・・我侭というかツンデレっぽい。
 主人公にも「不器用でぶっきらぼうで照れ屋なコロニーのAIさん」となかなかに好印象です。
 でも運が悪ければ、秋葉は出会う前にコイツに殺されるところだったという(笑)。

 ほのかは主人公の唯一の協力者ということで、いつきよりずいぶん出番が多いです。
 ただし、無口さとしゃべり方のせいでかわいらしさが伝わり難いのが惜しまれるところ。小説の宿命というやつでしょうか。


獅子堂家

 先ほども述べたように姉妹は四人。
 キャラ紹介ページには獅子堂家は5人が載っているのですが、秋葉・風音・高嶺・桜・神楽という面子です(何故か四女設定の桜が『五女』表記に)。
 有るのかなーと期待していたご両親の描写もありました。まあ、1章開始後6ページ目でお亡くなりになってることがわかったことくらいですけれど。
 そういえば、獅子堂家の使用人がナビ人ばかりな理由も書いてありました。それより以前には「じい」とか居たらしいですよあの家(笑)。

 姉二人は、両親の仇を追いつつも妹達を巻き込むのは避けようとしているあたり、こちらも人間が出来ている感じ。風音さんも高嶺さんも妹思いです。
 まあ小学生の秋葉に「力で敵わないなら、バットでぶん殴ればいいじゃない。それでもダメなら、部下を10人ほど雇って闇討ちすればいいわ」とか言ってトラウマ刻み込んでたりもしてますけど(笑)。
 「獅子堂のものは強くなくてはいけない。怖れてはいけない。泣いてはいけない」という教え(5歳児にも強制)に沿って育てられてきたせいなのか・・・
 神楽は遺伝子上の祖母ということで「お祖母様」と呼んでいます。

 四女にくりあがった桜はいつも通り。多分、一番アニメ版と変わってないと思います。
 文字だけだと天才少女にも12歳にも見えないですねー。パトロール艇に「わーい、うーうーだ、うーうー」って幼児かキミは(笑)。
 まったく「うはー、ふわふわのめろめろ?」「てかてかぼんぼん!」だけから「よろしくダンディなナビ人さん」が導き出せる秋葉はすごすぎる。
 そういえば秋葉の呼び方が「秋葉お姉ちゃん」に。


いつき&ウル

 真面目になった秋葉、でも元々真面目ないつきちゃんは更にその上をいきます。
 自分を追い込んで大変そうです。主人公との接触期間が短いことによって出番が短いというのに。
 「神凪いつき」としての初登場が206ページと遅いんですよねー彼女。285ページまでしかないのに(あとがきは除いて)。
 カラーイラストも、むつみさんの状態だしなぁ。ちなみに学校のシーンはないため、むつみさんは警備員の制服姿です。
 両親をめぐるネルヴァルとの因縁が健在なのかは不明。

 キャラ紹介ページに登場した唯一のナビ人、ウル。相変わらずのダンディさは桜ですら認めるほど。
 『戦闘用』とか『主のいないナビ人』とか微妙に種族の立ち位置が違うような気もしますが、性格的には殆ど同じかな。

 ICPのキャラで出番があるのはこの二人のみ。二人の上司は「お節介」らしいですが、ニーナ課長かどうかは謎。
 ブーミンとかエリカ&リリーは影も形もありません。下巻に出られるといいですね! 

 

獅子堂神楽&△△

 夢の中でもアレイダとしてでもなく、過去の映像として秋葉の前にご登場。
 後任に伝授するレオパルドの扱い方が「耐えるだけじゃダメよ。がつんといってやりなさい。ううん、それだけじゃダメね。殴ってやりなさい」と、ずいぶんといい性格をしています。
 良いことだけでなく、悪い部分も含めた全ての原因は彼女にある様子。
 妹に対して「この腕は、何のつもり、△△? あなた、わたしに喧嘩を売るの?」とか怖いし。このイメージの所為でアニメ25話の彼女がちっとも信用できんかった(笑)。

 『△△』は小説オリジナル要素の神楽の妹の名前。
 この本で一番驚いたこの箇所についてだけは伏せておきます。買うかググるかすればわかることですし、まあここで書かんでもいいか、ということで。
 まあこれ読むだけでもある程度推測はできるでしょうしね。
 この神楽妹にはほんとびっくりしましたねー。「ここにいたか!」って感じで。
 あんなお姉さんを持つと苦労するだろうなぁ。姉と対立するのは彼女の運命なのか・・・。
 でも「倫理や道徳というものがないの?」という台詞には思わず「このシーンを録画して平行宇宙の彼女に見せてやりてえ・・・!」と思いましたが(笑)。
 まともに育てば、こうなってたはずなのかなー。って、そういえばこの姉妹の年齢って・・・?
 うわ、神楽より妹の方が感想長い(笑)。


ネルヴァル&アレイダ

 敵側にも設定の違いが。まず、ネルヴァルが若い!
 口調だけだと変わらないっぽいですが、若いんですよ確かに。どこで判断してるかは読めばわかりますが。
 レオパルドの父親ではなく、同年代の友人に近い間柄のようです。でもネルヴァルの方がしっかりしている様子。
 それにしても「ひまわりのように笑った」彼が全く想像できなくて、読むのが一瞬止まってしまいました(笑)。
 ボスらしく登場はラストということで、出番は少なめ。

 一方のアレイダ。後半まで未登場のネルヴァルに変わり、強敵として秋葉を追い詰めます。
 その台詞からすると、もしかして中身はアニメとは別の人? 高嶺さんと互角の腕前は披露するも、素顔は見せなかったし。
 そうなると、その正体は? うーん、やっぱり小説独自設定の神楽妹なのかなぁ?
 あの髪型だと鎧着れなさそうですが、50年経ってるし髪くらい切ってもいいだろうし。
 これで、中からつつじ女帝陛下とか出てきたら個人的に大喝采(物語の方向が変わるってば)。


サブキャラたち

 スール家は、何とフリオの出番が一番多いという非常事態。姉は名前くらい、兄は名前すら出てこない(ちゃんと先生はやってるようですが)。
 本編が放課後から始まるため、生徒会4人組(この時点では5人組?)には全く触れられてないです。
 そういえば、ブレインコロニーもクサンチッペとベンケイもいなかったっけ。

 それから、特別ゲストとしてミコト(猫)が出演!
 何故かしゃべる、記憶喪失、冷凍睡眠されていた場所等から考えると、何かカギを握っていると思われるのですが・・・想像がつかない。
 あ、他世界からのゲストはこの子だけです。鴇羽舞衣とかいないですよー、神楽妹は別の子です。


 とまあ、こんな感じですかね。上下巻ということで、お遊び的な要素は削って基本シリアスで物語が進んでいってます。
 そういえば始まりがプロローグの「2」からで「1」はエピローグの手前にあるんですね。時系列順に番号がふってあるようです。
 エピローグで秋葉たちがたどり着いたのはどこなのか、8月発売予定の下巻を楽しみにしていようと思います。

 

 アニメ版もあと一話で終わりのところまできましたねー。
 25話の展開には驚きましたが、この作品で秋葉の次に押していたのがナミだと思って振り返れば、構成等いろいろと納得がいきます。
 まあ、その辺は最終回感想やまとめ感想で書くとして。

 でもやっぱり「秋葉 vs 神楽」のカードは見てみたかったなー(主人公、瞬殺される気もしますけど)。
 キャラクターの立ち位置的に今からやるのも可能なだけに勿体無いというか。ほら、ナミのアンチQTが解けた時のシーンはほのかだけで神楽のはなかったし。
 秋葉のトマト嫌いって設定は、ナポリタンを自在に操る神楽との対立を暗示してたのではないか、とか思っていたので。でもトマトの食感が嫌いなだけなら、ケチャップで味付けされただけのナポリタンは食べられるのかな?
 でも、その対決やったら絶対話終わらないですよね。折角ナミがまとまる方向に持って行ってくれたのに。
 レオパルドは、まあどうとでもなりそうなだけに、あの子がが一番心配だぁ。

 神楽の「このままじゃ死ぬ」っていうのはどういう意味なんでしょうね。
 暗殺メカに刺された影響とか、アンチQTの副作用とか、ハイになった挙句死地に突っ込みそうだ(笑)とか、理由はいくらでも思いつくだけに不安・・・
 秋葉の黄金銃は・・・・前に秋葉もほのかに撃たれて平気だったから大丈夫・・・だと思いますけど・・・
 よく考えれば、黄金銃との接点がここしかないナミは秋葉以上に『宇宙をかける少女』じゃないですねー。
 「少女ブラック」という一番大事な部分を省いた略称、あのひし形はその辺を皮肉っているのでしょうか。

 以下全くの余談。
 フォン博士と神楽が何か琴線に触れました。って、唐突にも程がありますけど(笑)。
 恋愛がらみじゃなくてもいいんです、この二人いいかもって思ってしまったのですよ。
 だって、みんな神楽に寄って行ってるのに博士だけちょっと離れてコンテナに座ってるんですよ。他のみんな「神楽様」って呼んでるのに博士だけ「神楽」なんですよ。
 これ、博士の方が神楽より年下だったらすげーくるんですが。
 50年ぶりに再会した年上の女性は若いまま自分だけ爺さんになってるとか、そういうのもう考えただけでうわーってきます。
 最終回後、変わらず喧嘩する秋葉とレオパルドを「あらあら」やれやれ」って感じで遠目に見つつ、

「昔を思い出すわねー、フォン」
「お前にはあんな可愛げはなかっだだろう、神楽」

 みたいな会話する二人とか見たい・・・。それは実現が限りなく難しいでしょうが、この4人が一画面に収まってくれればそれだけで満足です。
 そういえば、神楽は公式サイトのキャラクター紹介ページに間に合うのかなぁ?(現時点ではアレイダのみ)


 とまあ、余談はこの辺にして。
 最終回が楽しみですよね、ってことで締めたいと思います。

 それではー。


宇宙(そら)をかける少女〈上巻〉 (一迅社文庫)



トラックバックURL
コメントを書く




情報を記憶: 評価:  顔   星