トップページ » 宇宙をかける少女_まとめ感想2 / テレビアニメ

宇宙をかける少女_まとめ感想2 / テレビアニメ

     

 えー普通に23話の感想を書くつもりだったのですが、あまりに長くなりすぎたり自説を元に展開してたりと、ちょっと読む人を選ぶ感じになりそうだったので分けることにしました。
 23話の感想は、近いうちにアップします。
 それではいつものやつを。

一言結論1:獅子堂家の不等式 『家族愛』<『使命』
一言結論2:駄目なところもひっくるめて、好きになって

 ネタバレありなので、以下は続きから。



 さて、今回はこの2つについて語っていきます。
 元々各話感想のつもりだったので、23話の話題が多めです。

1)使命を帯びし、獅子堂の血族
2)秋葉の望んでいたこと

 今回はなるべく順番どおりに読んだ方がわかりやすいはずかと。ではいきます。


1)使命を帯びし、獅子堂の血族

 先週に引き続き、ナミはお休み中。いまだに意識が戻らないのは・・・・
 今はよそが忙しくて彼女にカメラを向けている時間が無いから・・・っていう理由が一番安心なんですが(それもどうだろう)。
 と、本人不在のこの時に、彼女の能力がネルヴァルと風音さんから明かされました。
 こういう扱いをされるところは、秋葉とよく似ています。嫌がるでしょうけどね、ナミは。

 それはともかく、高嶺さんを洗脳から解放したのは『アンチQT』の力ということです。
 あれは治療にかこつけてネルヴァルに改造されたわけではないようで。そこは一安心。
 これはナミが神楽より受け継いだもの。
 他の姉妹達も、何かしら神楽起源の能力があるとか。まとめてみますと。

長女・風音『全てを見通す眼』
次女・高嶺『戦う力』
三女・秋葉『願い』
四女・ナミ『アンチQT』
五女・桜 『天才的頭脳』

 こうなるようです。
 長女・次女・五女は言うに及ばずって感じで、注目すべきはやはり三女と四女。
 ナミはずいぶん限定的、それに対して秋葉はどうにも抽象的な印象です。
 主人公の能力は、目覚めたその時明らかになるのでしょうか。(桜は生まれつき覚醒していた?)
 秋葉とナミ以外の姉妹は一段階低い扱いなのかと感じていたのですが、そうでもなかったようです。

 それにしても、一人で姉妹全員の力を持っている神楽はどんだけ優秀なのか。
 アレイダ=神楽の事実に皆があんなに動揺していたのは、精神的な衝撃だけではなかったんですな。
 獅子堂五人娘が全員揃ってやっと神楽と互角(向こうは一人なので、全部の能力を同時に使えないとしても)。姉妹が一人でも欠ければ、もう劣勢という。
 しかもブレインコロニーの数(1 vs 2)、イグジステンズの数(1 vs 8)ともに負けている。『宇宙をかける少女』の数は引き分け。
 あちらに無いものと言えば、ソウルシャウツ・協力者(獅子堂評議会+元老院+スール家)・ICP・フォン博士くらいしか。
 か、勝てる要素が足りなすぎる・・・。こんなに絶望的な戦いだったなんて、悲壮感が全く無いから気付かなかったですよ。

 それは置いておいて、各人きっかり一つずつ力を受け継いでいる、覚醒前に持っている能力が知られている、等から推察するに。
 やはり現獅子堂家の誕生には人の手が介入しているように思えます。(最後の戦いに臨む神楽は子持ちには見えなかったしなぁ)
 桜が生まれた頃と神凪夫妻が攫われた時期が近いっぽいので、末娘を産んだ直後に五姉妹の両親も箱詰めに・・・って線も考えてはみたんですが、可能性は低そう。
 姉妹がネルヴァルを倒すために造られた、とするなら納得のいく部分もありますし。
 それが、この姉妹――家族の姿勢です。

 舞台が未来にも関わらず、秋葉とナミは現代人っぽい性格に設定されていると思います。
 ですが、獅子堂家とネルヴァルの因縁について知っている風音・高嶺の二人。家の動向を左右するのは彼女達。
 その姿勢には、封建社会の武家ないし王室に近いものを感じます。現代的な家庭とは明らかに違う。
 武家や王室にとって、一族(王室の場合は国も)の維持と繁栄が最も大事なこと。それが『使命』。
 家を継ぐ者は後継者を産み育てるのが義務、他の兄弟姉妹は政略結婚させられたりとか。家の為に、家族個々人の感情は切り捨てられることも多々あった。
 獅子堂家にも、ネルヴァル打倒という使命があります。(その使命のために彼女達は生み出されたのではないかと予想しているのですが)
 そして、風音さんと高嶺さんは「使命のためなら姉妹(自分含む)に苦痛を強いるのもやむなし」と考えているように見えるんですね。事実、妹たちを命がけの戦いに巻き込んでもいる。

 冒頭で帰還を果たした高嶺さんは浮かない顔。
 てっきり敵側に一人残ったナミのことを心配していると思ってたんですが、実際は裏切ってしまった(洗脳されたからで自主的ではないのに)ことで自分を責めていたようです。
 「家の利益を損なった場合、たとえ血の繋がった兄弟姉妹でもその責任は負うべき」みたいな時代劇的な意識を感じてしまいます(当時としては至極真っ当なのですが)。
 「後悔はその剣で払拭しなさい」とかまさに侍。といっても武士の中でも大名とか皇族とか、統治する側の姿勢っぽいかな。
 風音さんも、ブレインコロニー関連を優先してナミの主張を突っぱねてました(で、ナミはネルヴァルにつくことになったと)。
 やはり彼女も『情』<『使命』の人。むしろ一番顕著です。
 まあ『アンチQT』なんて重要な力を持ってるナミはちゃんとキープしておいてほしいところですが。

 そんな旧い体系の獅子堂家。そんな家庭に、現代的な感覚を持った秋葉とナミはどこか合わないところがあったんじゃないでしょうか。
 現代人の感覚からすると、自分達家族より一族の使命優先っていうのは嫌じゃないかと。事情を知らなきゃ、ただの仕事人間に見えるだけ・・・なのか?
 風音さんも高嶺さんも家族愛が無いわけではないとは思うのですが、造られた云々を抜きにしても、人類の命運をのためとなれば妹達を犠牲にするしかないかと。
 って、なんかこの話題に入ってから桜に全く触れてないですが、彼女の感覚は正直わからないので何も言えない(笑)


2)秋葉の望んでいたこと

 今回すごく驚かされた秋葉の台詞があります。
 それが「どうして!? アタシが『宇宙をかける少女』だから!? アタシがいないとネルヴァルを倒せないから!? そうでしょ!?」です。
 何ていうか、はっとしましたね。ああ、この子は自分がどういう風に見られてるか、ちゃんとわかってたんだって。
 今までの彼女からして、そんなことは考えたことも無いだろうと思ってたんですが、それは違っていたようです。
 それを起点として一つの仮説ができあがり、わたしの『獅子堂秋葉』という人物へのイメージは大きく変わることになりました。
 その仮説というのが「秋葉は、ありのままの自分を認めてほしかったのではないか」というもの。

 秋葉は自分の重要性は理解していたようです。
 ですが、そのことに強い興味を示す様子は見られませんでした。(「それ何?」って聞く度ジャマが入る、というお約束は何度かありましたけど)
 つまり彼女は『肩書き』や『力』には興味がないんですね。秋葉が見てほしいのは、あくまで自分の本質とか内面の類。
 自分を認めてほしいなら手近なメイドさん達にちやほやしてもらうって手もあるのにとか思ってたんですが(王道の逃避だ)、そうはしなかった。
 『お嬢様』という『肩書き』で認められることは、彼女には価値がない。
 友人として自分を認めてくれて、付き合ってくれるイモちゃんが大切なのも道理です。
 あれですかね『お嬢様』の定番「みんな家のことばっかり、本当の私を見てくれる人なんていないんだわ」的なイベントはこなしているんだろうか、この子でも(どういう意味)。

 そして「姉妹たちは皆すごいのに、自分には何も無い」と言いつつも、それを払拭する努力はしないんですよね。
 これ、単なる怠慢だと思っていたのですが、この仮説にのっとるとうまく説明がつくことに気付きました。
 彼女が認めてほしかったものが自分の力だとすれば――「アタシだってやればできる」と主張したいのであれば――努力をすればいい。
 でも、認めてほしいのが『ありのままの自分』なら、その必要は無い。むしろ飾らない姿を晒すことこそが一番の近道と言えます。
 自然体で、自分らしく。照れくさくても、見栄を張ったらいけない。

 そういえば、秋葉は自分のダメさを出すのに抵抗がなかったように思います。しょっちゅう弱音吐いたりして。
 「すごい姉妹」に『獅子堂財団のお嬢様』という色眼鏡があり、欠点を見せることが失望や嘲笑につながりやすい彼女(まあ、実妹が一番シビアでしたが)。
 そんな状況で、飾らない自分を出しつづける。その苛酷さを思うと胸に迫るものを感じます・・・この作品で心揺らされると何か悔しい(何故)。
 彼女のやり方が正しいかどうかはわからないです。努力をしないのは褒められたものではないし、悪いところは直した方がいいですし。
 利口ではないかもしれないけれど。でも、いじらしい子だなぁという気持ちを抱きました。
 ただのお気楽娘だと思ってただけに衝撃でしたねー。実は健気なお気楽娘とは・・・・(微妙な変化)

 ただしこの秋葉の場合、そんな意識は特にないという可能性も充分にあるんですよねー。姉達と同一視されて過剰な期待ると困るので、自然と身に付いた処世術ってだけとか。心理はまあこんな感じかなーと思えても、彼女は最終的に直感で決断するタイプなので。
 見てるこっちとしては勝手に「あの人たちは近寄りがたいが・・・こいつならとっつきやすそうだ」みたいな姉狙いの有象無象を、さしたる取り得も無い秋葉がかわすにはダメさ全開でいくしかなかった、とか想像膨らませてあまりの飛躍に自分で即否定しましたが。

 でももう一つ思いついた「秋葉って実は出来る子?」っていうのは保留にしておこうかと。
 今回のことだけでなく、ナミを「いい加減にしなさいよ!」と一喝したり、口げんかでいつきの急所を一撃で突いたりとか、あの子怒らせると結構鋭いような。
 クサンチッペに「箱からみんなを出せ」と迫った時の一瞬の間は、通常モードと出来る子モードを切り替えていた、なんて。
 普段は全部嘘ってわけじゃなく、意図的にだらけてる(ダメさを全開にしてる)っていうのなら、主人公のお約束にも適ってるし。
 こう、普段は頼りないんだけどいざという時は決める!みたいな。
 あまりにも意外な展開にみんな驚愕ですよ。むしろ「秋葉の偽者が出た!」と思われる(酷)。
 あーでも更にその裏をかいて「実は出来る子」っぽいだけの天然、ってオチの可能性も・・・っていいかげんきりがないので余談は終わります。

 で、この秋葉の特性は、対立するナミとちょうど真逆になっていると思うのです。
 ナミにとって自分の『力』を認めさせることは、すなわち自分自身を認めさせること。
 『力』が無い者は、人間的にも下。だから自分の弱さを隠すため、必死に虚勢を張っている。
 また、彼女にとって『肩書き』はいわば『力』の証。
 でも自分を受け入れてくれる誰かが欲しかったのは、秋葉と何ら変わらない。そう考えると、彼女も哀しい子ですが。

 そんな彼女達を、お姉さん達――家族では救えなかった。
 基本、生まれた時から自分を知っていることが多い家族なら『ありのままの自分』は元より知っている。
 あとはそれを受け入れてくれれば一番手っ取り早いわけですが。残念なことに、獅子堂家ではそれは叶わない。
 先ほど述べたように、獅子堂家の最重要課題は『使命』。『力』を尽くし、強敵ネルヴァルを倒すことが何より優先される。
 弱さ自分もそのまま認めてほしい、なんて小さな願いは「人類を護る」という大儀の前では無情にも目に留めてもらえない。
 昔は風音さんと高嶺さんも『使命』とかそんなことは知らなかったと思いますが、学校の勉強とか剣の稽古とかで忙しく妹をかまってばかりもいられなかったでしょうし。
 そして現在、秋葉(本来ならナミも)は妹であると同時に対ネルヴァルの戦力なんですね。
 資産家ですが、あんまり恵まれた家庭とは言えない気がしてきた・・・

 だから、秋葉を救ったのは姉妹ではなくいつきだったのだと思います。
 弱さも欠点も知っているいつきが言ってくれた「私は、あなたのことが好きなんです」という自分を肯定してくれる言葉は、もう適切すぎて言葉も無いですよ(散々書いといて)。
 学園に転入早々の「好きです」とは重みが違う。
 いや、初めて聞いた時はびっくりしましたけど。「友達だから」とかそのあたりだろうと思ってたので。
 でも『咲-Saki-』を見てれば、こんなのは全然百合未満(笑)。あの作品で、百合のハードルが飛躍的に上がった気がする(何の話)。

 それに、ほのか。
 イグジステンズであり元反乱軍の一員のほのかもまた『ネルヴァル打倒』の悲願が第一。
 にも拘らず、秋葉(と妹子)を巻き込んだ責任を感じずにはいられなかった。
 これは『秋葉の友人』としての気持ちが、使命』に匹敵するほど彼女の中で大きくなっていたということなのでしょう。
 親友は亡くしてしまった(と思った)けど、この二人の友人が秋葉を立ち上がらせた。
 そして久々に主人公がラストに決めてくれるのですが、そっちについては各話感想の方で詳しく書くことにします。また長くなりそうですし。

 まとめますと。
 人と人との関係においては、相手の悪いところも認めることがどうしても必要になってくる。
 箱篭りを否定するなら避けて通れない点だと思います。
 今回のお話では、その問題で苦悩する主人公の秋葉を通してその辺を描いていたのではないでしょうか。

 それにしても、こんなに秋葉に入れ込むことになるとは想像外でしたよ・・・
 ここまで書いてまだ予定の半分の項目ってことで、この変則的な構成になりました。
 正式な23話感想もそのうち書きますので、よかったらお付き合いください。
 それではー。



SORA KAKE GIRL
宇宙をかける少女 Volume 2 (Blu-ray Disc)
宇宙をかける少女 Volume 3 [Blu-ray]
宇宙をかける少女 Volume 1 [DVD]
宇宙をかける少女 Volume 2 (DVD)
宇宙をかける少女 Volume 3 [DVD]



トラックバックURL
コメントを書く




情報を記憶: 評価:  顔   星