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宇宙をかける少女_第22話『冥い旅路』感想 / テレビアニメ

     

一言結論:囲いを否定し外界に出でし者、光の裏に在る冥き闇を知れ

 ネタバレありなので、以下は続きから。




 箱の外の世界は広い。
 その広大さは確かに素晴らしいが、それゆえ光の届かない場所も存在する。
 その冥い闇を知らずして、世界を知ったとは言えない。


 今回は割と地味な話だったと思うのですけれど、個人的にすごくおもしろかったです。
 本で言うと、行間を読むのに当たる作業がやけに楽しかったなーと。
 そんな感じでして、書きたいことは主に以下の4つ。

1)主人公を見舞う最大の試練
2)ネルヴァルとの和解はなるか?
3)再結集に向けて
4)ツツジ・ウォーズ/帝国の逆襲

 では、ひとつひとつ行きますねー。


1)主人公を見舞う最大の試練

 イモちゃんの死に衝撃を受ける秋葉。
 「誰か隠してるんでしょ? イモちゃん、離してあげてよ!」には胸がつまりました。
 その一方、ごく自然というか当たり前の展開に見えて、秋葉への試練としては実に的確だと思ってしまったのです。
 前回、箱の中で生きることを否定した彼女ですが、それはイモちゃん(+まんまる焼き)が理由でした。
 やや穿った見方をすれば、彼女の成長があったかどうかちょっとあやしい。
 箱人間生活は拒絶した秋葉だけれど、その決断は箱人間的な指針によるものなのでは?と思ったわけです。

 箱の中を皆が選ぶのは、欲しいものが得られるから。
 箱から出ることを秋葉が選んだのも、そこにイモちゃん(+まんまる焼き)という『欲しいもの』があったからではないかと。
 言ってしまえば同じ理屈。
 そして箱の中のもう一つの利点が、嫌なものをシャットアウトできること。
 秋葉は、箱の外でもこれができるんです。
 まあ彼女だけに言えたことではなく。自分に都合の悪いものから目を逸らす、というのは誰だって身に覚えがあるはず。
 中でも、秋葉はこの傾向が強い。そういうキャラクターとして描かれていたように感じられます。

 優秀な姉妹たちに劣等感を感じつつも、それに正面から向き合って己の道を積極的に探すこともなく。
 レオパルドやほのかに言われるまま、犯罪の自覚があるのに盗みを実行する。
 敵に操られた二番目の姉は忘却の彼方へ。
 直視したくない事実は躊躇わずスルー、なタイプだと思うのです。
 まあ、物語の主人公というより一般人に近いってだけで悪い子ではないと思うのですが。
 今回も箱への引きこもりは否定しても、現実――外界の厳しさと戦う覚悟を決めたわけではなかったのでしょう。
 そこに、有無を言わさず最も残酷な現実が突きつけられたわけです。

 箱から脱出時の秋葉の様子。熱ちっ!」と痛みを伴い、他者の手によって――自分の意思で足を進めたのではなく――外へ出された。
 これも彼女の置かれている状況と合わせたのでしょうか。
 精神面についてのみなら、秋葉は言わば作品冒頭からずっと箱の中にいた状態で。
 このとき初めて彼女は、外界へと出たのです。
 物語開始から、実に20話(野球回は除いてあげてもいいか)を経て。すごい時間のかけっぷり・・・・(笑)

 彼女が箱を否定したのは、失いたくなかったから。それは、求めるが故の行動。
 けれど外に出た彼女を待っていたのは、喪失。
 人は『友を得る』瞬間、『友を失う』危険性もともに手に入れている(それを恐れて歩みを止めるのは間違いでしょうが)。 
 外の世界のメリットだけ見てデメリットからは目を逸らしていた秋葉にとって、これ以上無い反撃。
 ・・・ここまできれいにカウンターを決めてくるとは。流石にこれには同情の念を禁じえないというか・・・・

 箱から出て「イモちゃんは?」の言葉とともに両手で当たり前のようにキャッチの体勢をとる秋葉に心が痛みました。
 ああ、秋葉とイモちゃんは一緒にいるのがずっと自然だったんだ、っていうのがここにすごく表れていて。ちょっとした動作でしたが、とても印象的でした。
 あと今回もうひとつ好きなシーンを挙げるなら、ラストのいつきの「獅子堂さん、帰ってきましたよ」ですね。

 箱から出て、予期せず外界の闇に落ちることになった秋葉。
 でも、世界は闇だけでもないのです。秋葉には、懸命に支えてくれるいつきがいてくれました。
 仲間を救おうと焦る生徒会長を「あなたも家族を奪われた辛さがわかるはずだ」と押しとどめたいつきの言葉。
 (それ以前に、会長は何故秋葉に箱からの脱出方法を聞いてるんだ・・・・。この子を箱から出したのはウルだし、それを見てたはずでは)
 以前、喧嘩で秋葉に指摘されたことですよね。いつきはその時のことを忘れず今に活かした、と。

 秋葉を打ちのめしたのは『喪失』という友情の負の要素。
 両親の生存が危ぶまれる中いつきが秋葉を気遣えた理由は、同じ友情の負の要素『喧嘩による傷つけあい』を経験していたから、というのは素敵だと思うのです。
 辛いことは確かに在る。けれど、それが次に繋がってくる。
 箱の中には無い、外の世界や人間関係の光の面が同時に描かれていたのでは。

 余談ですが、いつきが秋葉を「獅子堂さん」って呼ぶのが何か好きです。
 普通、親しい友人は名前で呼ぶものですが、秋葉の場合は特別というか。
 この作品内の世界で、『獅子堂』と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、風音・高嶺・ナミ・桜のいずれか。
 同じくレオパルドやほのかにとっては『獅子堂』と言ったら、神楽。
 そんな中で「獅子堂さん」= 秋葉、の図式が成り立ついつきはすごく貴重な存在だと思うんですねー。
 彼女、風音やナミのことも「獅子堂さんのお姉さん」「獅子堂さんの妹さん」なんですよね。秋葉には、姉も妹も複数いるのに。
 いつきにとって秋葉はまさに『獅子堂・オブ・獅子堂』(何だそれは)
 いや、フリオらクラスメートも秋葉を苗字で呼んでたかもしれませんが(笑)
 あ、でもいつきが秋葉を名前で呼んでくれる展開も歓迎しますけど(節操無し)。


2)ネルヴァルとの和解はなるか?

 オッサンたちの「死傷者はゼロ」発言に「あのナビ人のことは?」と返すクサンチッペや、皮肉ではなく「小さな勇気に報いるべきだ」と口にするネルヴァルは何だかいい人っぽいのですが。
 でも、効率優先で死者の肉体さえ利用する姿勢や、うつろな元箱人間の有様を知ったいつき達は敵意を表す。
 うーん、個人的にはわかりあえてもいいと思うんですけど、そう簡単にはいかないようです。
 でも、月基地を氷付け(更迭された司令ごと?)にしたネルヴァルの「お前達は支配するにも値せん」から察するに、あの箱詰めは本気で善意のようです。
 「愚かな人類は我々に管理されるべきなのだー」とかではなく、あの箱の中で暮らすことこそが人間を幸せにすると思っている。
 行動の理由が思い違い、その理由がコミュニケーション不全であるなら、両者が互いを理解するために歩み寄るっていうのはいいと思います。安直に潰しあうよりよっぽど。

 ただ、死人が出てしまっているとなるとキツイのも事実。
 一般市民を虐殺したとかでなく、獅子堂家は明確に敵なんですけど。でも、ほのかにとっては神楽抜きでも同士の仇ですからねー・・・割り切れまい。
 そういえば「氷の中で永劫の時を生きるがいい」とか元老院の爺さん連中の生存とかで「やっぱこの作品、死者出ないんだ。イモちゃんにもまだ希望が・・・」と思った直後にスパイの死亡でがっくりきました。
 先週のアレで解禁なのか。むしろ、あの件に衝撃を持たせるために今まで控えめな描写にとどめてていたのか・・・(疑いすぎ)。
 いや、希望は捨てないぞー。イモちゃん、カムバックー。
 メタ的なこと言いますと、イモちゃんの死の原因をラスボスポジションのネルヴァルが担わなかったことには何か意図が在ると思うんですよー、うん。それが和解の余地を残すためだ、っていう推測は私の希望に寄るところが大きいんですけどね。

 話を戻して、長生きするはずの箱人間に異変が起こりつつある、という情報が。
 これはネルヴァルの意図とは違うように思うのですが・・・クサンチッペは知っているようだし、彼女の独断?
 やはり、どんなに居心地が良くったって箱の中は理想郷ではないということでしょうか。そりゃー運動不足になるよな、とか単純な問題ではない・・・・はず。
 もう22話だというのに更なる疑問。ああもう、分割4クールにしましょうよ、いっそのことー(気楽に言うな)。

 そういえば、マスター・ネルヴァルの執務室?の床にはバスケットボールっぽい模様が。
 バスケットボールとは、ボールを籠に入れることを目指すもの。
 そして、籠といえば「籠の鳥」など、内部の存在を外部から遮断する存在。
 ネルヴァリストの行動原理を暗示しているのでしょうか。


3)再結集に向けて

 ばらばらになっていた味方組が、次週あたりレオパルドコロニーに再集合する様子。
 各々の今週の行動はと言えば。

 レオパルドコロニーの風音さんはレオパルドとチェス対決。
 百戦以上とか、そんなに時間経ってたんですか? 速攻で勝ちまくったにしては、キング以外全部取ってるし。
 そんな獅子堂長女、弱すぎる彼を「しっかりしてもらわないと困るの」と大批判。
 「勝負という勝負には全て勝ちなさい」とか基本的に厳しい人ですよね。ナミを叱った時とか。
 だからつつじへの好意的な態度が妙に記憶に残っているわけか、と納得。

 「この駒と同じように、人にも物にもそれぞれの役割があるということよ」「それ(クサンチッペとの戦闘データ)は遠からず手に入る。がんばってもらわないとね」って、何かいろいろ手のひらの上で転がしてるっぽい台詞を・・・
 神楽が敵だったり理事長先生が生きてたりしたことは予想してなかった様子でしたが、はて・・・・まさかあのタイミングでナミ突き放したのも、わざととか言いませんよね・・・・
 秋葉がこの人のところへ帰ったとして、慰めてもらえるかどうかあやしくなってきたような。主人公は友情パワーで復活するのかなぁ。
 でも、家族の絆も大事じゃないですか? 四女(今回台詞無し)との和解という一大イベントが待っているというのに・・・。
 
 高嶺の妨害を受けたものの、地球へ辿り着いたほのかはフォン博士を無事(彼女の側は)回収。(引きずられながらも返事する博士は律儀だな)
 謎も多く感情もあまり表に出さない彼女ですが「なして?」と聞きつつ答えを待たず振りかぶる様子に違和感を覚えなかったなーと。
 いつのまにか彼女の人物像がつかめていたようですな。ちゃんとキャラの個性を把握させるっていうのは作り手の確かな技術ですよね。
 遠慮無しだとこの行動ってことは、あれでほのかは彼女なりに秋葉やいつきに接するのに気を遣っていたりする?
 それはともかく、ヒロイントリオも次週久々に揃い踏みか。
 ほのかはイモちゃんの死を知るのでしょうが、秋葉はほのかの寿命を知る余裕はあるのですかね。

 そして、久々に声を聞いた気がする高嶺さんは秋葉・いつき組に合流。
 仲間内で浮きまくり、挽回しようとしたら刺され、謎の処置で復活、という四女の空回りっぷりを姉妹達にバラして・・・もとい伝えてくれるのでしょう。
 多分、ナミの生命線はこの人が握っている。
 風音さんのナミへの叱責を目撃し、貫かれるところも見ているはずの高嶺さん。彼女の命綱を放さないでほしいものです。

 そういえばこの人もしゃべったのはいつ以来?の白夜さん(残された生徒会の紅一点)。
 彼女を含む生徒会の面々も、秋葉を連れてレオパルドへ帰還中。
 晶がまたイモちゃんのメイドロイドを使う機会もあるのでしょうか。
 あ、あと生徒会長はいつきとフラグかと思いきや、予告でネタにされてるのでそれはない?
 っていうか、いつきは時間稼ぎしなくても普通に全員で脱出できてるじゃんか・・・・

 それからフリオとネネコちゃん。あのまま箱に入れられ、その後の描写が無いままいつのまにやら外へ出たようです。
 もしかして、ナミと対立していたモデル仲間やスール学園の生徒たちもあの元箱人間の集団内にいたりしたんですかね? よく覚えてないのでチェックならず。
 当事者の血族ながら、スールの末弟・フリオは一般人の被害者と何ら変わらない扱い。
 身内を贔屓できないというのはあるにせよ、長女と長男はちょっとほっときすぎじゃないのか。末っ子ってもっと可愛がられるんじゃ・・・(イメージ)

 続いて、獅子堂家元老院(評議会とはまた別の組織だったのか)の爺さん連中。
 亡き同士の意思を継ぎ、一人でも多くの人を助けることが使命というその姿勢は秋葉にも応用可能だと思うのですが、彼女聞いてないし。
 みんなのお手伝いもしてない状況ですが、今回ばかりは仕方ないか・・・責めるのは酷か・・・。
 それにしても、あれだけの無気力人間を引き連れてちゃんと脱出を成功させるのはすごい。流石は年の功!
 でも宇宙空間に出てしまえば、あんなにでかいブレインコロニーの相手は流石に無理。
 そこに「飛び出すな、コロニーは急に止まれない」ってな具合で乱入してきた方については次項で。

 そういや、いつきたちの護衛のはずのブーミン、先週から見ないんですけど・・・・
 捨て駒・・・じゃなく囮としてその役目を果たしにいったとかなら納得いきますが・・・・そんなシーンありましたっけ?


4)ツツジ・ウォーズ/帝国の逆襲

 なんだ、この見出し・・・(自分で書いといて)
 それはさておき、クサンチッペに押されてタジタジのベンケイの危機を救うべく、つつじ先生改め女帝・つつじ陛下が堂々降臨!
 クサンチッペとは初対面でしたっけ。ああ、見るからに気が合わなそうだ・・・
 「『受け入れる』と言った舌の根も乾かぬうちに前言を翻す。わたしの帝国に泥を塗るつもり。恥を知りなさい!」という台詞はかっこいいのですが。
 とうとう、脳内設定が現実へ侵攻を始めてしまったようです。いつの間にマイ帝国の建国を・・・・
 やっぱ太陽に突っ込んだのははまずかったかー。水分と塩分摂って、日陰で涼むことをお勧めします。
 でも、押しに弱いベンケイには彼女が必要ですよね、やっぱり。
 それから、巨大チェーンソーと巨大鞭、更に高嶺の機体による激突は、迫力あってカッコイイですな!


 今回はこんな感じで。
 さて次回、獅子堂のバランスがまた変わる様子。高嶺と秋葉が戻ったことで、ネルヴァル側に残ったのはナミと神楽(アレイダ)のみ。
 味方チームが一同に会するわけですが、どん底の秋葉はどうなるのか。

 それにしても、明かされない謎が一向に減らないのが気がかりです。思いつく限り挙げていきますと。
 『宇宙をかける少女』とは何なのか? なぜ秋葉とナミが選ばれた?
 アレイダは本当に神楽なのか? そうだとしたら、彼女は何を考えて動いている?
 神楽と獅子堂姉妹の正確な関係は? あのメモには何が書いてある?
 レオパルドは何で人類に味方した? ネルヴァルにパートナーはいないのか?
 ネルヴァルの目的は、本当に人間の箱詰めだけ? どうして白と黒の『宇宙をかける少女』を求める?
 前回、桜が発明したのは何? 獅子堂五姉妹の両親はいるのか?
 今回だけでも「箱の中の人間の不可解な死は何故?」とか「カークウッドコロニーのあの秘密の空間は?」とかの疑問点に回答が得られず。

 これ、全部に答えが示されるのは残り話数はあと少しなんですけど。情報を示しつつ最終決戦、って厳しそうですが。
 まあ、そんな謎が少しでも明かされることと、秋葉の元気が戻ることを願って今回は締めますね。
 それではー。
 


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