宇宙をかける少女_第18話『蘇る神』感想 / テレビアニメ
ネタバレありなので、以下は続きから。
今回の一言結論をもっとわかりやすく言うとするなら「考えるな、感じるんだ!」ではないかと。
今回のお話でその辺が当てはまるポイントを箇条書きしてみますと、
1)マスターネルヴァルのナミへの対応
2)ニーナ課長、ネルヴァルが人間を集める理由を考えるが・・・
3)やる気イマイチの秋葉に理事長ワナワナ
4)落ち込むレオパルドをを立ち直らせるには
5)計算の苦手な彼女たち
など結構な数に。
一つづつ挙げていきますね。
1)マスターネルヴァルのナミへの対応
帰還したレオパルドと秋葉を前にして、撤退するナミ。
「『黒い神様』が来た」という彼女の言にあからさまに冷たい態度のオッサン達と違って「レオパルドのことだ」と瞬時に察するネルヴァル。
コミュニケーションのレベルがレオパルドとは段違いですね。自分に心酔する部下を50年も維持できたのも頷けます。
ナミの再出陣を止めるのも押し付けるような物言いでなく「君を失うわけにはいかない」と本当に口がうまい。
人間をスムーズに動かすには、理屈より感情を押さえるのが吉。流石に未来の人工知能は進んでます。
でも「レオパルドが迷惑をかけてすまない」というネルヴァルの言葉にナミは引っかかりを覚えたようです。
それに加えて自分を疎むオッサン達に、彼らの傀儡の高嶺。
実は自身が孤立しているのだと、彼女は気付くことができるのか。
常に味方であったアレイダは今回不在。それが秋葉を連れて来るためだったと知った時、ナミは何を思いどう行動するのでしょう。
ストレートに考えれば逆上しそうですが・・・
今の彼女は力を手にしてしまっている。悲劇に繋がることがないように祈った方がいいのかも。
2)ニーナ課長、ネルヴァルが人間を集める理由を考えるが・・・
人々を攫っているのがブレインコロニーだと知ったニーナ課長。しかしキレ者の彼女であっても、その動機は理解し難い。
「彼らは『住居』だから『住人』を必要とする」などファンタジー世界では通用しても、SF世界では受け入れがたい理屈。機械の発想としては、あまりに非効率的です。
ブレインコロニーの思考には、単純な理屈では説明のつかない部分がある。
彼らの心は人間のそれと変わらない。人工知能というより、人類とは別の知的生命体と言えるかもしれません。
それに気付くことで、ニーナ課長もブレインコロニーという存在がわかってきたようです。
それにしても理事長とニーナ課長が旧知の仲ということなのに、いわゆる作戦会議は別個に行うんですね。
獅子堂家+スール家と怪奇課の共闘体制は、あくまでヒロインたちの努力で築けということでしょうか。
あと肉親がいなくても、ニーナ課長や理事長先生が迎えてくれる秋葉といつき。
この二人とは対照的に、同志の爺さんたちの死を突きつけられるほのか。突然倒れたり(地球でのQTの使いすぎの件?)、彼女の今後には暗雲が立ち込めているような・・・
3)やる気イマイチの秋葉に理事長ワナワナ
カークウッドからの避難民をレオパルドコロニーに移住させようと考えた理事長先生でしたが、現在のレオパルドは接続不可。
「なんとかして」と秋葉に訴えるも「ダメでしたぁ〜」とあっさり折れて。
理事長は、多くの避難民たちへの対応でパンク寸前。怒りを必死に抑えるも、こらえきれずにワナワナと・・・
敵側に比べ、主人公側はコミュニケーション不全という感じです。
コレ、秋葉に苛立つのもわかりますが、全面的に彼女が悪いわけでもないかなーと。
「あたしレオパルドの保護者でもなんでもないんですけど」の発言からもわかるように、他の誰でもない自分が頑張る必然性が秋葉からすると希薄なのでしょう。
人々が困っているのはわかるし、今が大変な事態(カークウッドにいなかった分目減りしているとは思いますが)であることも見て取れる。
でもそれほどの重大事であればこそ、その対処にはもっと(実力的に)ふさわしい人間が他にいる、と彼女が考えても不思議ではないです。
それこそ『大人』の仕事だと考えているのかもしれません。理事長の「『大人』になりなさい」はその辺を指摘したのですかね。
ネルヴァルとの戦いは一族の宿命らしいですが、いろいろ曖昧なまま来てしまった秋葉にはその実感は不足ぎみ。
家の資産は莫大ですが、獅子堂家は行政関連の団体でも慈善事業家でもなく社会貢献の意識も並程度で。
レオパルドとの付き合いはそれなりだけれど、長さならほのか、熱意ならいつきが上回っている。
秋葉の性格とこの現状を鑑みるに、事態の解決に彼女を駆り立てるものがあまりにも足りない。
理事長の側からすれば、レオパルドを浮上させるのは『宇宙をかける少女』である秋葉以外にないということなのでしょう。
ところが秋葉は、自分がレオパルドにとってそんなに重要な存在だと知る由もない。
何せ不安定なブレインコロニーには支える人間が必要、という基礎さえ理解していないのですから。
これはある意味筋金入り。捨て駒扱いのつつじより情報が少ないって・・・・
でも意外と。これでよかったのかもしれないと思う部分もあります。
そうでなければ秋葉はレオパルドの『トモダチ』にはなり得なかったと思うのです。
秋葉にとってのレオパルドは、死んでいった戦友達の無念をともに晴らす同志でもなければ、両親の行方につながる鍵でもない。
「あんたと神楽さんのことなんて知らないよ」と言うように獅子堂の家の宿命も、今の彼女にとってはさして重要ではない。
だから秋葉にとってのレオパルドは、ただの友人。
図体と態度はでかいくせに小心者でセクハラしてくる、迷惑だけど一緒に騒ぐと面白い。そんな自分の感じたレオパルドが全て。
ブレインコロニーだとか、ネルヴァルと協力して戦うとか、そういった利害の絡まない純粋な友達関係。
だからこそ、頭にくれば状況関係なく喧嘩したりもできるんですな。
秋葉が知っていることといえば、自分が『宇宙をかける少女』と呼ばれていること。
けれど、彼女はその言葉の指すものを知らない。その解釈は単語の意味そのまま止まりです。
今の秋葉にとって『宇宙をかける少女』であるということの印象は決して悪くはないようですが、言葉の意味するものを知った時、或いはナミもまた『宇宙をかける少女』であると知った時は果たして・・・
秋葉とレオパルドのこの自然な関係、責任感とは縁遠いけれど個人的には結構好きなんですがね。二人の関係は今後どうなっていくのでしょうなぁ。
この作品には『使命感』とか『悲壮な決意』とかはあんまり似合わない気がするんですが、駄目かなー。
話を元に戻しまして。
おそらく姉妹達に抱く劣等感も手伝って、自分の代わりなんて誰でも出来ると思うからこそ秋葉は必死になることもなく。ダメっぽければさっさと諦めてしまう。
これをどうにかするには、獅子堂家とか『宇宙をかける少女』について主人公殿にはきちんと説明するのが筋だと思うのですが。
今回、理事長先生はそれをしなかったですね。
真実を伝えるのは風音の役目だと考えていたのか、それとも秋葉は理屈で動く子ではない(笑)と思ったのか、それは不明ですが。
でも諦めかけていた秋葉は再度動きました。筋道を立てた説明はなくとも、理事長の必死な様子が伝わったんでしょう。
まあ、あれは押し切られますよね・・・。
そういえば長女と次女は行方不明で、機能停止の獅子堂家。
四女は裏切り、五女はマトモに会話できない。ってことは現在、獅子堂家の全権は秋葉に?(獅子堂評議会との力関係は謎ですが少なくとも表向きは)
なんて恐ろしい事態だ・・・。1話のお見合いの人、こんなチャンスは無いのでは。
4)落ち込むレオパルドをを立ち直らせるには
ベンケイ(何処へ行くのやら)にまで敗北し、更に沈むレオパルド。
本気で落ち込んでいる時に「こっちはみんな困ってる、助けられるのは君だけだ、だから頑張れ」なんていうのは、理論的に正しかろうが感情的には受け入れ難い。
その説得では、うまくいかないのも当然ですよ。
行き詰ったので助っ人を招集。来てくれたいつきは秋葉の努力不足を指摘します。そこには私も異論はないのですけれど。
でもこと人間関係においては、努力で押しまくればいいってものでもない気がします。
交換日記はまだしも「好きです!」とか唐突に公衆の面前で告白(しかも同性に)するのはかなりまずいよいつきさん・・・・むつみさんか、あの時は。
ただ「あんなやつなんて努力してもわかりっこない」という秋葉の態度を改めさせたのは前進ですね。
分かり合おうとする気持ちがなくては始まりません。秋葉はいつきのアクションはともかくハートは取り入れるべきかと。
加えて登場したほのかの助言もあって、秋葉はレオパルドを奮起させる方法に辿りつく。
努力不足を指摘された割に、解決方法は努力というより協力とか友情のおかげでした。
でも秋葉の「あたしはほめられて伸びるタイプなの」は嘘っぽいけどなー。だって秋葉はあんまり褒められたことないんじゃないかと思うのですが。
子どもは特に、褒めることで熱意を持って物事に取り組むようになる。
天才故に達成感が得られないというわけでもないのに真剣に取り組むものを持てなかった秋葉。彼女はいつも姉妹達と比べられてしまって褒められた経験が少なかった・・・なんていうのは飛躍しすぎかなぁ。
自分の帰りを喜んでくれる避難民達の気持ちにより浮上してきたレオパルドでしたが、直前で立ちすくむ。
そこに叩き込まれた決定打は、秋葉の怒りの一撃でした。
だったら最初から・・・・いやまあ、理屈じゃなく感情ってことですかね、これも。
5)計算の苦手な彼女たち
敵は200体以上。
こんな時に活き活きするのが、ブーゲンビリアとミンタオ。自機を2体に分離させれば!
「これで数の上では互角!!」
・・・・考えるんじゃなく感じてください。以上。(短っ!)
まあ5)はさておき、今回総じて自分の主張を通す時や相手を理解する際の決め手として描かれていたのは、理論より感情だったように感じました。
心には形が無い。それを動かすのに、時には自分の心をぶつけるのも必要ということではないかと思います。
もちろん、理論や理屈というきちんとしたレールを敷くのも間違ってはいない。
ただ感情をぶつけ合うことを忘れて、理屈ばかりで動くようになってしまっては駄目なのでしょう。
いつのまにか自分の理屈に絡め取られて、望まない方へしか進めなくなってしまうかもしれない。
大事なのはバランス。って、言うのは簡単ですけどね(笑)
さて、レオパルドがやっと復活したというのに秋葉誘拐で緊迫の次回、一体どうなるのでしょう。
明かされていない諸々、残酷な真実を容赦なく突きつけられる? それともナミと本気で戦うことに?
そんな感じでいろいろ想像しつつ今回は締めますね。
それではー。
SORA KAKE GIRL
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