鉄腕バーディー DECODE + DECODE:02_まとめ感想1 / テレビアニメ
一言結論:「ボーイ・ミーツ・ガール」ではなく「ボーイ・ミーツ・レディ」の物語
第一期『鉄腕バーディー DECODE』(以後一期)と続編『鉄腕バーディー DECODE:02』(以後二期)#5まで見て「責任」という点からキャラクターたちの姿勢について考えられることをつらつら書いてみました。
ちなみに原作漫画の方は未読、以下の「公式」という記述はほとんどが公式サイトからの情報になります。
今回の記事は主人公コンビ編。主な話題は一期です。
以下はネタバレ含みますので続きからどうぞ。
普通の少年つとむ君が宇宙連邦捜査官バーディーと出会うことからストーリーが始まるわけで、その点からすると「ボーイ・ミーツ・ガール」でも問題はないんです。
ただ、バーディーの方がちょっと「ガール」の範疇には収まらないんじゃないかなーと。
もちろん年齢的な話だけではないですよー。(そもそも、バーディーの実年齢は不明ですし)
つとむ君とは対等な関係という感じですが、バーディーは充分大人の女性だと思います。
彼女はちゃんと、責任をとる。自分の立場において果たすべき責務を果たす人です。
自分がつとむ君を殺しかけたとはいえ危険を承知の上で二心同体を受け入れたことに始まって、
有田しおんの仕事も時間厳守の精神で勤め、
つとむ君に隠し事をすることになっても中杉さんを調べ、
多くの人命を守るためであれば、本来は無関係だった――言わば巻き込まれた側の少女を殺す役目を負う。
二期の#4でぶちぬいた民家の壁も自腹か経費で弁償してるんでしょう、きっと、うん。
もう一人の主人公のつとむ君は、大人に必要な責任感を持つに至っていない子どもとしての様子が当初描かれていたのではないかと。
死にかけた原因は好奇心で廃屋に勝手に侵入してた自分にもあるはずなんだけど「体を治すのは当然だろう」「自分の好きに(間借りしてるバーディーの)体を使わせろ」という態度でしたし。
でもそんな子どもの目線が彼とバーディーが相棒になるきっかけにもなったと思います。
一期の#4で、リュンカを確保できないバーディーが非難された時つとむ君は「バーディーは一生懸命やってる」と訴えました。
見知らぬ星の裁判所で宇宙人に囲まれた状態で自分の意見が言えるのは大したものだけど、内容ははっきり言ってコドモの理屈もいいところ。
地球で言うところの警察官であるバーディーは「がんばったけど、ダメでした」なんて言い分は許されない。失敗したなら、その責任は取るのが義務です。
でもその責任は、警察官という職務上のもので、職業人としてのバーディーに課せられるもの。
一方つとむ君の「一生懸命」というのはバーディー個人の感情とか姿勢。
つとむ君はバーディーのことを「捜査官」ではなく一人の人間として見ていて。そんな彼だからバーディーはテュートに継ぐ相棒として認めてくれたのでしょう。
ただ、もちろん最初のうちは(表立った対立にはなっていないものの)二人の足並みがずれている様子も見られました。
一期#7の地下鉄での殺人事件。その犯人は、開発者を母親と認識、彼女を捜して彷徨っていたロボットでした。
結局止めるには破壊するしかなく。
事が終わった後、無邪気に喜ぶつとむ君と静かなバーディーの対照的な様子が印象深かったです。
この殺人犯は、開発者のプログラムに従うロボットであり、本能的に母を求める幼児でもあった。
どちらもその行動の責任を本人に求めるには無理がある、そんな要素が二つ重なって生まれた存在。
大人として責任を負うバーディーと、そんなことは考えずに行動するつとむ君。二人の感情の差はこの立場の違いに原因があったのでは。
そんな少年が、話の進展につれて成長したなーと感じます。
大勢の人を守るため、バーディーはリュンカである中杉さんを殺すことになってしまう。
その時つとむ君は協力は拒否したけど、でもバーディーの立場にも理解は示していた。
そして彼は、最後には中杉さんを救うために身代わりになることを決意しました。
それによって導かれた、ようやく取り戻した肉体の再喪失・好意を抱いていた中杉さんの記憶から消える、という辛い結果も受け入れたつとむ君。
自分の行動およびその結果には「責任」が伴うということを知って、一歩大人に近づいたのだと思います。
余談ですが、主人公二人が最初に出会った物語の開始地点が廃屋で、クライマックスに自分の体を取り戻したつとむ君とバーディーが立つことになった場所がリュンカによって廃墟と化した六本木。
これは意図しての共通項なんだろうなー。リンクしつつスケールアップもしてますよね。
山村が崩壊する場面はあったとはいえ、首都東京のわりあい有名な街がおもいっきり壊滅したのはすごいインパクトでした。話の規模の拡大にびっくりしましたよ。
しかも次回作でも重要な場所になるし。
とまあ、こんな感じでこの作品はつとむ君の精神的成長を描いていたと見ることが出来ると思います。
それは続編『02』の方でも同じく「責任」という観点が有効ではないかと。
それについては敵側やサブキャラについても触れた方がわかりやすいので、今回はここまで。
次回、敵・サブキャラクター編に続きます。