世紀末オカルト学院_第1話『マヤの予言』感想 / テレビアニメ

一言結論:ありゃま、意外と親しみやすくてらっしゃる(学長風)
ネタバレありますので、以下は続きから。
オープニングが今までのアニメノチカラ2作に比べて、普通のアニメっぽいと思いました(第一声)。
そしてエンディングは、歌唱力にびっくり。更に予告は、選曲にびっくり。あの歌から10年近く経つのか・・・
そんな何となく年寄り染みた感想は良いとして、本編へ。
冒頭は何だかシリアス。得体の知れない怪物らしき姿も見える。
街中の場面に移るものの、タクシーのシーンで「ホラー物?」と思わせ、続いて父親の葬儀。
シリアスなのか、怖いのか?とびくびく見ていただけに、教頭の鼻水にどん引きするマヤの崩れた顔で思わず「あれ?」と。
そこからの諸々の描写から、コメディ要素が多く含まれている作品なんだ、ということがわかりました(笑)。
遺言に残された『真理』だの何だのの胡散臭い単語。うっかり呪文間違えて、はた迷惑な悪霊の召喚。舌を出した遺影。ヤラセ説を唱えるマヤの背後の学長の姿。
悪霊のとりついた死体とはいえ、父親を思い切りぶっとばすヒロインもギャグっぽく描いているので抵抗が少なかったです。
ギャグだもの、あの殴り方でなんで真後ろに吹っ飛ぶのか、なんてツッコミは野暮ですよね!(笑)
まあ、あの動作はラストの首を落とすシーンの前振りなのでしょうが。ヒロインの行動としては、いくらなんでも衝撃的ですからね・・・
それにしても、内容を思い返すと重い雰囲気にならないのが不思議なくらいです。これが演出というものか・・・
死体が動き回るとか、女の子の顔を男が連打するとか、肉親の首を斧で斬り跳ばすとか、冷静に考えるとすんごくどぎついはずなのに、そのへんが緩和されて伝わってくる感じで。いやー、すごいわ。
間に挟まれる小ネタとしても楽しいですし。「メガネメガネ」とか「顔はやめて」とか、アフロ(フレーム外で爆発オチが?)とか。でも、1999年の笑いじゃない気がする・・・もっと古いネタなんじゃぁ・・・おもしろいからいいですが(笑)。
心霊現象等を扱っているにも拘らず、全体的にコメディの雰囲気を感じました。恐怖がかなり削ぎ落とされているような。
ラストでは、首の切断面から体液や肉片の代わりに色とりどりの物体(霊体?)を描いて、グロテスクさを抑えるとか。そうした直接の描写を避けるだけでなく、間接的な工夫もあったように思います。
『オカルト』や『ヤラセ』の単語等、あえて『俗っぽさ』を盛り込むことで恐怖が薄まったのではないかと。
心霊現象が持つミステリアスな雰囲気(神秘性)が、世俗的な表現をされたことより急速に失われていったように思いました。何て言うか、高い位置にあったものが引き摺り下ろされたような(笑)。
タイトルの『世紀末オカルト学院』も、すごいセンスですよ。この、凝縮されたB級臭!(褒め言葉)
作品の雰囲気をここまで正しく届けてくれるなんて、そうそう無いのではないかと思いますね、うむ(1話見た時点で言うのは時期尚早かもしれませんが)。
前番組が上海や満州が舞台だったのに、今回は長野県。物理的に近いことで、精神的にも身近に感じます。
もうひとつ、キャラクターにも近い印象を受けました。もっとお高くとまってるかと思っていたのに、想定外に親しみやすかったです。
ヒロインのマヤ嬢(そういえば、またヒロインがお嬢様なんだな・・・)。第一印象ではもっと話の通じない子かと思ってたんですが(笑)、そんなこともなかったです。
気弱そうな青年を椅子にしている画(キービジュアルにそんなのが)を見て、もっとSの女王様気質かと思っていたんですよ。「私が『白』と言えば『黒』も『白』になるの!」みたいな。
でもそんな理不尽さはほとんどなく、論理的な思考の持ち主なんだなー、と。
死霊とわかっているのに『ヤラセ』を主張したりと、傍で見ていると不可解な部分もあるのですが、そのへんはモノローグも含めるとすんなり納得できましたし。
彼女の一番大きな目的は、学園を潰すこと。それに効果的な発言をしているだけ。
心の叫び、「オカルトなんて大ッ嫌い!」にも、嘘も矛盾も無い。
超常現象の存在は認識しているから、『ありえない』ではなく。知識は豊富なので、『理解できない』でもない。『嫌い』が最も適切。
ここでの『オカルト』という語は『パパ』(お父さん)と入れ替えても意味が通りそうですね。
幻影に惑わされこそしなかったものの、死霊があの風景を作ったってことは、何らかの未練はあるのでしょう。
緑の返り血?をかぶったマヤの物憂げな顔が印象的でした。涙を流した時、描かれなかった顔はどんなだったのかな・・・なんて。
幻の部屋には暖炉の火が赤々と燃え、しかし現実は寒々しい。吐く息も白い(地下だから寒いとかかな・・・)。マッチ売りの少女で、炎が消えた場面のような。
お母さんも亡くなっているとのことで、彼女、孤独な身の上ですよね・・・。ちょっと気が強くもなるかな・・・いや、ちょっとでもないか・・・・(早くも思い直した)
マヤの行動原理や過去が見えたことも、彼女に好感を抱かせる要素のひとつに挙げられると思います。
怪談やこっくりさんで無邪気にはしゃぐ少女時代は、服装以外は(笑)親近感を感じました。
あと、表情豊かと言うか・・・心霊現象への芸人並のリアクションも親しみをおぼえましたね。
実の父の葬儀での、あの尊大な態度! しかしそれが意外に脆いという(笑)。鼻水に「げっ」となり、光臨というか降臨というか・・・してきた全裸の彼にも汗だらだら。
『紅の豚』(92年)とか、ユーモアのセンスもある様子の彼女。これも有る意味、ギャップ萌え?(笑)
それだけマヤの魅力を全力で伝えてからでないと、流石に親父の首カッ跳ばしたら引かれるでしょうし・・・。倫理だけでなく法的な面でも・・・・でも正当防衛ってことになるのかな・・・?
まあそのへんはともかく、何か学長、予告では全然平気にご登場。そこもまた深刻にしすぎないためですかね。
あのまろやかな声で穏やかにナレーションなさって・・・「ありゃま」とかお茶目だ!(笑)
ともかく、そんな都合でマヤには不透明な部分を極力持たせなかった。
すると残った不明点は、マヤはどうやって学院を潰す気なのか? と、そんなことが本当にできるのか? ということくらい。
そのへんは今後のストーリーで描くことなので謎のままで良いのですが、もうちょっと先が気になる要素・・・所謂『引き』が欲しいかな・・・なんて贅沢な願望を見越していたかのように、最後の最後で爆弾が投下されました。
それは、『ナイトレイド』最終話で主人公組が阻止しようとしていた核とはまた別の・・・とんでもない爆弾でした(笑)。
唯一身につけているのはゴーグルって・・・その装備の選択はおかしいだろお前! まず穿くべきものがあるだろ、何故それを飛ばす?!(笑)
制作陣は、何て凄まじい『引き』を用意したのだ・・・インパクトは申し分ないが、以後のメインキャラ同士の人間関係が大変なことになるのではないかと・・・わくわく(すっかり術中)。
そんな感じで、すっかり次回が楽しみになってしまいました。
あとは、99年の描写が懐かしかったですね。ルーズソックスとか、折りたためない携帯とか。あの頃はもうカメラ機能が普通に付いてたんだ、とか。
マヤは自分より少し年上くらいかなー・・・・そこ、年齢の計算とかやめなさいね。
さて、2話ももう放送しているので、早めに感想を書いて追いつきたいなー、などと聞き飽きた台詞を書いて、今回は終わります。
それではー。
にほんブログ村
世紀末 オカルト学院 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
世紀末 オカルト学院 1 【完全生産限定版】 [DVD]
世紀末 オカルト学院 1 【通常版】 [DVD]
フライングヒューマノイド(DVD付)
フライングヒューマノイド(世紀末盤)
君がいる場所【初回生産限定盤】