2010年02月23日
はなまる幼稚園_第7話『はなまるな夏休み』『はなまるな夏祭り』感想 / テレビアニメ
一言結論:成長とは、過去との別離
ネタバレありますので、以下は続きから。
今回は夏休み、ということで園内のシーンは冒頭のみ。
園の外がほぼ毎回描かれていたとはいえ、タイトルが『はなまる幼稚園』なのに主な舞台が先生の田舎っていうのはすごいですねー。
今回はやはり土地の出身者である、土田兄妹と桜ママの出番が主だったように思います。
中心になっていたのは、ようやっと決意を新たにしたつっちー先生。
先輩と妹さんは、年齢的にも立ち位置的にも彼を間に挟んで並び立っていた印象です。
人生の先達である桜ママはつっちー先生の前に、年下のさつきちゃんは後ろに位置している。
つっちー先生が成長するということは、桜ママの方へ向かって進むということで。そうなると、さつきちゃんからは自然、遠ざかることになる。
さつきちゃんが感じた寂しさの原因はそこにあるのでしょう。
それにしても、職場だけでなく私生活でも高レベルな女性に恵まれているつっちー恐るべし。「みんなでお嫁さんに」とか、そろそろ男性視聴者に殺意を抱かれるのでは・・・(笑)
まずは、桜ママとつっちー先生の話。
社会に出て3ヶ月強、土田直純、遂に己のふがいなさに気付く。
遅い!(笑) ・・・・・・・まあ、これまでは慣れるので手一杯だったってことかもしれないし、取り返せなくはないので以後精進するように(何様)。
でも、幼い頃からの付き合いの片思いしていた先輩をオッサンに奪われた(しかも結婚+妊娠)過去には、初めて本気で同情しました。
かつての桜先輩の「デートのセッティングをしてあげる」という申し出。今回の山本先生連れの帰郷は桜ママの言葉があったればこそ。
桜ママが偶然か意識してやってるのかはわかりません。それでも、つっちーからすれば「学生時代と同じ扱いを先輩にされている」という感覚は、言葉による指摘よりも強く己の成長の無さを意識させるもの。
それが彼を、ここで決意させた。
人間が前進するためには、自身の意識が最も重要なのでしょうね。他者にいくら注意されても、当人に変わる意思が無ければどうにもならない。
川は、区切り・境界線を連想するモチーフ。
この恋を実らせる、と決意を語る桜先輩の背中を見つめるしかできなかったつっちー少年。
世界を赤く染める夕日に引き伸ばされた、先輩の長く黒い影。彼女の大きさと、それに比べて小さなつっちーの存在を感じた場面でした。
時を現代に戻すと、晴れ渡る空と白い雲の下で川は青く染まっていて。
同じ場所のはずなのに、画面の配色が違うとまるで異なる印象を持つのだなーと思いました。
昔は昔、現在は現在。あの時、動き出せなかったつっちーは、今こそ立ち上がって前に進んでいって。その先には、山本先生や杏たちがいる。
・・・けれど勢い余って怒られちゃうところは、やっぱり普段通りのつっちー先生でした。そう簡単には変われませんよね(笑)。
でも後半、祭りの会場で園児たちを気にかけたり、山本先生の肩に手を伸ばしたり(今までは「偶然チケットをもらったんですよー」とどうも遠まわしな感じだったような)、本当にやる気を出したみたいですね。
けれど後半で描かれていたのは、つっちー先生が前に進めば進むほど置いていかれることになるさつきちゃんの感傷。
大人のようには割り切れず、子どものように無邪気でもいられない思春期の彼女だけが感じる寂しさ。
桜ママたち年長者は「人は変わらずにはいられない」ことを受け入れていて、杏たち幼児は「変わることって良くなることでしょ」と疑問を持たない。
生まれ育ったホームでアウェイの気分を味わわされる彼女は確かに不憫ではあるけれど、でも「今のまま、何も変わらずにいてほしい」という願いは叶いようがない。
だから、今回ばかりはさつきが折れて、つっちー先生の鈍感さには罰がくだらなかったのだと思います。
郷愁に囚われて動けなくなるよりは、忘れ去って進む方が『正しい』ことなのでしょう(しかし同時に、人は常に『正しい』生き方をできるものでもないのですが)。
じゃあ、叶わぬ望みを抱いたさつきちゃんは泣き寝入りかっていうと、そんなこともなく。
人は生きている限り変わっていく――過去(思い出)とは別の人間になっていくもの。けれど、過去は見えなくなるだけで、失われるわけではない。
つっちー先生はちゃんと妹との思い出を覚えていて、迎えに来てくれた。そこでさつきちゃんの孤独は解消されます。
彼女が若い身空で(笑)昔を懐かしんでいたのは、大好きな兄が自分を見てくれず寂しかったから。だから、気にかけてもらうことで満たされる。
つっちー先生が成長することで自分から離れていく、という根本的な問題は残ったまま。なのに、構ってもらえればうれしくなって機嫌をなおすさつきちゃんは、やっぱりまだ子どもなんだろうなー。
それにしても、レギュラーメンバーは大人と幼児が主で、学生が一人っていうのはなかなか見ない構図のような気がします。
EDはセピア色の絵のレトロな雰囲気。
これも、今回のお話で扱った『思い出』や『郷愁』にから持ってきたモチーフなのでしょう。
つっちーの実家も絵に描いたような田舎でしたし。日本人が懐かしさを感じるような感じでしたねーあれは。
幼稚園のあるいつもの町からは距離があるみたいだし、つっちー先生と桜ママの再会は奇跡的な出来事だったんですねー。
そんなところで、今回は終わりです。
それではー。
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園の外がほぼ毎回描かれていたとはいえ、タイトルが『はなまる幼稚園』なのに主な舞台が先生の田舎っていうのはすごいですねー。
今回はやはり土地の出身者である、土田兄妹と桜ママの出番が主だったように思います。
中心になっていたのは、ようやっと決意を新たにしたつっちー先生。
先輩と妹さんは、年齢的にも立ち位置的にも彼を間に挟んで並び立っていた印象です。
人生の先達である桜ママはつっちー先生の前に、年下のさつきちゃんは後ろに位置している。
つっちー先生が成長するということは、桜ママの方へ向かって進むということで。そうなると、さつきちゃんからは自然、遠ざかることになる。
さつきちゃんが感じた寂しさの原因はそこにあるのでしょう。
それにしても、職場だけでなく私生活でも高レベルな女性に恵まれているつっちー恐るべし。「みんなでお嫁さんに」とか、そろそろ男性視聴者に殺意を抱かれるのでは・・・(笑)
まずは、桜ママとつっちー先生の話。
社会に出て3ヶ月強、土田直純、遂に己のふがいなさに気付く。
遅い!(笑) ・・・・・・・まあ、これまでは慣れるので手一杯だったってことかもしれないし、取り返せなくはないので以後精進するように(何様)。
でも、幼い頃からの付き合いの片思いしていた先輩をオッサンに奪われた(しかも結婚+妊娠)過去には、初めて本気で同情しました。
かつての桜先輩の「デートのセッティングをしてあげる」という申し出。今回の山本先生連れの帰郷は桜ママの言葉があったればこそ。
桜ママが偶然か意識してやってるのかはわかりません。それでも、つっちーからすれば「学生時代と同じ扱いを先輩にされている」という感覚は、言葉による指摘よりも強く己の成長の無さを意識させるもの。
それが彼を、ここで決意させた。
人間が前進するためには、自身の意識が最も重要なのでしょうね。他者にいくら注意されても、当人に変わる意思が無ければどうにもならない。
川は、区切り・境界線を連想するモチーフ。
この恋を実らせる、と決意を語る桜先輩の背中を見つめるしかできなかったつっちー少年。
世界を赤く染める夕日に引き伸ばされた、先輩の長く黒い影。彼女の大きさと、それに比べて小さなつっちーの存在を感じた場面でした。
時を現代に戻すと、晴れ渡る空と白い雲の下で川は青く染まっていて。
同じ場所のはずなのに、画面の配色が違うとまるで異なる印象を持つのだなーと思いました。
昔は昔、現在は現在。あの時、動き出せなかったつっちーは、今こそ立ち上がって前に進んでいって。その先には、山本先生や杏たちがいる。
・・・けれど勢い余って怒られちゃうところは、やっぱり普段通りのつっちー先生でした。そう簡単には変われませんよね(笑)。
でも後半、祭りの会場で園児たちを気にかけたり、山本先生の肩に手を伸ばしたり(今までは「偶然チケットをもらったんですよー」とどうも遠まわしな感じだったような)、本当にやる気を出したみたいですね。
けれど後半で描かれていたのは、つっちー先生が前に進めば進むほど置いていかれることになるさつきちゃんの感傷。
大人のようには割り切れず、子どものように無邪気でもいられない思春期の彼女だけが感じる寂しさ。
桜ママたち年長者は「人は変わらずにはいられない」ことを受け入れていて、杏たち幼児は「変わることって良くなることでしょ」と疑問を持たない。
生まれ育ったホームでアウェイの気分を味わわされる彼女は確かに不憫ではあるけれど、でも「今のまま、何も変わらずにいてほしい」という願いは叶いようがない。
だから、今回ばかりはさつきが折れて、つっちー先生の鈍感さには罰がくだらなかったのだと思います。
郷愁に囚われて動けなくなるよりは、忘れ去って進む方が『正しい』ことなのでしょう(しかし同時に、人は常に『正しい』生き方をできるものでもないのですが)。
じゃあ、叶わぬ望みを抱いたさつきちゃんは泣き寝入りかっていうと、そんなこともなく。
人は生きている限り変わっていく――過去(思い出)とは別の人間になっていくもの。けれど、過去は見えなくなるだけで、失われるわけではない。
つっちー先生はちゃんと妹との思い出を覚えていて、迎えに来てくれた。そこでさつきちゃんの孤独は解消されます。
彼女が若い身空で(笑)昔を懐かしんでいたのは、大好きな兄が自分を見てくれず寂しかったから。だから、気にかけてもらうことで満たされる。
つっちー先生が成長することで自分から離れていく、という根本的な問題は残ったまま。なのに、構ってもらえればうれしくなって機嫌をなおすさつきちゃんは、やっぱりまだ子どもなんだろうなー。
それにしても、レギュラーメンバーは大人と幼児が主で、学生が一人っていうのはなかなか見ない構図のような気がします。
EDはセピア色の絵のレトロな雰囲気。
これも、今回のお話で扱った『思い出』や『郷愁』にから持ってきたモチーフなのでしょう。
つっちーの実家も絵に描いたような田舎でしたし。日本人が懐かしさを感じるような感じでしたねーあれは。
幼稚園のあるいつもの町からは距離があるみたいだし、つっちー先生と桜ママの再会は奇跡的な出来事だったんですねー。
そんなところで、今回は終わりです。
それではー。
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