DARKER THAN BLACK -流星の双子- _第9話『出会いはある日突然に・・・』感想 / テレビアニメ
一言結論:今までの歩みこそ、少女の人生行路
ネタバレ有りなので、以下は続きから。
クライマックスとなるのは、おそらくイザナギ(シオン?)とイザナミ(銀)の接触なのかな。
大人の皆様は各人、その場所に至る道を自分の意思と行動力で見つけ出していっています。
黒は銀の居場所を得るべく、情報を持っているらしき沢崎を拉致。
未咲さんは独自の調査でアンバーのメッセージを入手、現在は黒を追跡中。
シオンと博士は当事者っぽいし、マダムは色々知っていそう。
そんなわけで、クライマックスへの切符が未だ手元に無いのは、スオウ組のみ。体調不良で倒れたり状況に流されたりと、大人みたいにうまくやっていけない彼女です。
そんな少女が知った、衝撃の事実。これで弟との再会を求める意識はよりはっきりするでしょうし、或いは向こうからコンタクトを取ってくるかも?
ともかく、役者はちゃんと揃いそうです。
ただ、スオウの精神状況はどうなるのかが気がかりですね。己の存在を母に否定されるなんて、これほど酷なことはそうそう無いですよ・・・
母親。
誰もがその腹のうちより生まれた、人生の開始地点。そこから歩き出し、離れるとしても、その存在への感情は胸のうちに抱いている。
どきどきしている心臓は、母を慕う少女の心の証明であると同時に、彼女が間違いなく生きている証。それなのに。
他にも『母親』という存在は、人や物事の起源や出発点と重ねられることがあります。『母なる海』とか。
全ての始まりであるゲートを抱えた東京の街は、契約者の件に関して言えば『母なる街』と呼べるのかも。
葉月とその母、松吉(わざわざ本名)と母ちゃん等、東京編一話目の今回は『母親』というのが鍵でしたね。
イザナミだって、母神からとった呼び名ですし。
銀も母親・・・・そうか(笑)。まあ、黒の行動の起源という意味では適当なのかも。
未咲さんを突き動かしているのも、BK201・・・・いやむしろ李くんへの思いのようですね。
そして、スオウの行動の動機は弟であるシオンとの再会・・・だったのでしょうが、その意味合いが今回で大きく変わったのではないかと思われます。
前回までは、「行方不明の弟が心配で会いたい」という家族への親愛の情が主な理由。けれど、それは母だと思っていた女性から否定されてしまった。
『死んだ』というのが比喩表現で無いのなら、更に今のスオウが亡くなったという『蘇芳・パブリチェンコ』が甦った存在ででもければ、スオウはシオンともパパとも肉親ではなくなってしまう。
それは同時に、少女が嘘をつかれていたことも意味します。それが何のためかと言えば、おそらくは利用するため。
遺伝的にも人間関係的にも、家族とは言いがたいのではないかと。
「理由なんていらない」と言われて母親に会いに行ったスオウ。きっとシオンに対してもそうだったのでしょう。
「どうして一人でいなくなったのか」とか聞きたいことは有ったにせよ、彼女の目的は謎の追求ではなく会うこと自体。でも、きっと今後スオウがシオンとの再会を望むのなら、それは自らの真実を聞くためというのが出てきます。
少女の旅の出発点の理由とは、異なるものになるのでしょうねー。自分の根幹だけでなく、行動の根幹も揺らいでしまうという。
あー、そうだ、せっかくだから8年前に死んだという彼女の方は『蘇芳』と呼ぶことにします(とってつけたように)。
『蘇芳』も『紫苑』も同名の植物が由来の色名。前者は赤系の、後者は紫系。人の目で見える光の中で、波長の長さが最も違う二つの色。
この辺りは、この双子と印象がかぶるところかな、と思いました。
車で移動中の和やかな会話から、驚いた母の踏んだブレーキで車が急停止。これは、歩み続けてきたスオウの旅が止まる、という暗示なのかも。
思えば、スオウ側は移動シーンがしばしば描かれています。
船、車、電車、歩きなど方法も様々(彼女らが乗ったわけではないですが、他にも飛行機や潜水艦と乗り物が多く出てきましたね)。
それ以外の勢力は、これがほとんど無い。三号機間は気付けばロシアから日本に戻っているし、北海道にもあっという間。瞬間移動が可能らしいマダムに、シオンサイドはそのへんは完全に不明です。
それもあって、スオウたちの進みが遅く感じられたりもするのですが、それは作り手の狙いなのではないかと。
少女にとってこの旅は、大切なものだから、時間を取って描いているのだと思います。
『旅』はしばしば『人生』に例えられますが(あと、『前進』と『成長』はイメージ的に重なる感じ)、スオウにとってはまさにそう。
現状ではスオウの誕生時期は明らかではなく、旅以前に最長で8年分生きている可能性もあるわけですが。それは博士、もしくはシオンの管理下なわけで(本人が気付いていないとしても)。
この旅とて彼らの思惑は有るのでしょうけれど、それでもスオウにとっては己自身の意思と力で描いた軌跡であることは間違いない。
そして何より、旅で得た仲間は父と弟の差し金では無い。
黒や猫(ペーチャかどうかはあまり重要でないのでこの呼び名で)は想像の範疇だったとしても、ジュライはおそらく想定外。彼の心境に変化が起きつつあることも。
その辺が、スオウに残された希望なのではないかと思います。彼女に選択の時が来たのなら、それらがきっと鍵になるのでしょうな。
以下余談。
アンバーさん、また会えて嬉しかったです!
黒の話題になる都度からかわれる未咲さんと、葉月家の前髪の伝統に笑いました(笑)。
キコは全く変化が無いのがすごい・・・好きな作品のコスプレじゃないのか、その格好・・・。人気作だとしても、ブームはとっくに終わってる時間経過なのに。一途?(探偵の無変化は・・・まあ、どうでもいいってことで)。
そして、ヒゲをそった黒さんがまず第一にすることといえば、うまいこと言って女性を人気の無いところへ連れ出すこと(笑)。何てさりげないんだ・・・暗殺技能もそうですが、テクニックは錆びつかせない人だなぁ。
怪人か変質者のようなポジションというか、そういう演出でしたよね、あのシーン(笑)。
今回はそんなところです。
それではー。
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